イスラエル、治安閣議でレバノン停戦案を承認 直前にベイルート中心部を攻撃
(CNN) イスラエル政府は26日、治安閣議による投票を行い、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラとの停戦案を承認した。イスラエル当局者がCNNに明らかにした。1年あまり続くヒズボラとの国境越しの衝突や、数千人の命を奪ったここ数カ月の全面戦争に終止符が打たれる可能性がある。 合意はまだ正式発表されていないが、60日間の敵対行為の停止で国連安保理決議1701の履行をめざし、持続的な停戦の基礎とする可能性に期待を寄せる内容とみられている。 安保理決議1701は2006年、イスラエルとレバノンの34日間の交戦を終結させる目的で採択され、当該地域は20年近く比較的平穏が保たれていた。この状態はパレスチナ自治区ガザ地区のイスラム組織ハマスがイスラエル攻撃を実行した昨年10月7日の翌日まで続いたが、ヒズボラは連帯して攻撃に踏み切り、1年以上続く紛争が訪れた。 安保理決議1701では、イスラエルはレバノン南部からすべての兵力を撤収する必要があると明記。レバノンを流れるリタニ川の南に駐留する軍隊はレバノン軍と、国連平和維持軍のみとするべきだと規定している。 イスラエル軍の兵士は26日、9月にレバノン国内で地上作戦を開始してから初めて、リタニ川に到達した。 投票の数時間前にはベイルートへの攻撃を大幅に強化し、ヒズボラが支配する南郊のみならず、今回の紛争で初めてベイルート中心部を狙った。レバノン保健省によると、ベイルート中心部で少なくとも10人が死亡したという。 イスラエルのネタニヤフ首相は26日夜、事前録音した演説で、イスラエルの攻勢でヒズボラは「もはや以前と同一」の勢力ではなくなっていると説明。現時点で停戦をめざす理由を三つあげた。 第一の理由は、イスラエルが「イランの脅威に集中」できるようにすること。第二はイスラエル軍や装備品の補充で、ネタニヤフ氏によると、武器弾薬の供給の「大きな遅れ」が一因となり兵力や装備品が枯渇している状況だという。第三に、ヒズボラとハマスの共闘を不可能にして、ガザ地区にハマスを孤立させることを挙げた。 米国務省の報道官は数カ月続いた停戦交渉について、「信じられないほど苛(いら)立ちが募る」と語っていた。今回の合意で大きな突破口が開けた形だが、持続的な停戦につながるかどうかはまだ不透明だ。