ラグビー日本代表が指揮官不在の緊急事態でもトンガに圧勝!
ラグビー日本代表に緊急事態が起きた。国際大会のパシフィック・ネーションズカップ(PNC)の2戦目に挑む8月3日、ニュージーランド出身のジェイミー・ジョセフヘッドコーチが一時帰国したのだ。母のモードさんが自宅で亡くなったためだ。 しかしチームは、大阪・東大阪市花園ラグビー場でトンガ代表戦を41―7で制した。星取表を2勝0敗、対戦国との通算戦績を9勝9敗とした。リーチ・マイケル主将は言った。 「監督がいなくても勝てるのが一番の理想です。監督とコーチがいなくても選手で考え、反省すること、変えることを考えるのが理想です。ただ、きょうは(ジョセフHCが)いないことを周りのブラウニー(トニー・ブラウンアタックコーチ)や長谷川慎さん(スクラムコーチ)がカバーしていました。それとこのチームのよさは、リーダー陣の成長。きょう特に、それを感じました」 記者団がパソコンを叩く会場の夕方頃のメディアワークルームで、オペレーションスタッフが声を発した。 「17時40分ごろ、日本代表チームスタッフからお知らせがあります」 予定から数分過ぎたあたりで、黒いチームポロシャツを着た日本協会団が入室。報道陣に囲まれた。3名いたうちの1人である藪木宏之広報部長に促される形で、藤井雄一郎強化副委員長がトラメガを取った。声を震わせた。 「えー…。皆さん、こんにちは。日本時間9時半にジェイミー・ジョセフのお母さんが…」 ジョセフHCと親交の深い藤井強化副委員長によれば、指揮官の母のモードさんはかねて体調が優れなかった。78歳で逝去したのは、現地時間の8月3日午前0時半頃だった。 ジョセフはその夜、母と電話で語らい、睡眠薬を飲んで就寝。日本時間の明け方に目を覚まし、訃報に触れたようだ。かくして、ジョセフ体制下で攻撃戦術を作ってきたブラウンアタックコーチがHC代行となり、スクラムを教える長谷川コーチがフォワード全般をカバーすることとなった。藤井強化副会長は続ける。 「(モードさんは)先週の釜石の試合(7月27日にフィジー代表を34―21で倒したPNC初戦)の前から急に体調が悪くなって。(ジョセフ)本人には残りたいという気持ちがあったんですけども、リーチ(マイケル主将)と私で協議をしまして、チームとしても『お母さんのもとへ戻ってやってくれ』と話し、先ほど(ジョセフは)帰国しました。チームも引き続き調子も上げていますし、ジェイミーのためにいい試合をしたいと思います」 左腕に喪章をつけた日本代表は、終始、試合を支配した。