望月歩が『虎に翼』に新たな風を吹かせる 『エール』から4年ぶりの朝ドラで見せる成長
NHK連続テレビ小説『虎に翼』で、新潟地家裁三条支部に判事として赴任した寅子(伊藤沙莉)。新天地の新潟で、娘・優未(竹澤咲子)との関係を修復したいと思っている寅子だが、仕事に忙殺されている。 【写真】『エール』で若手行員・松坂を演じた望月歩 そんな寅子と一緒に働く三条支部の書記官・高瀬雄三郎は、気弱な性格だが、読書好きなところが弟の直明(三山凌輝)に似ていて、寅子は親近感を覚えるように。寅子は、山の境界線をめぐる民事調停を担当することになり、高瀬や弁護士の杉田太郎(高橋克実)らと現地調査に出向くが、高瀬と申立人との間にトラブルが発生する。 高瀬を演じる望月歩は、2000年生まれの若手俳優で、2020年度前期のNHK朝ドラ『エール』にも出演していた。『エール』では、窪田正孝が演じる主人公・裕一が働く、川俣銀行の若手行員・松坂寛太役だった望月。松坂は、頭取である権藤茂兵衛(風間杜夫)や、後継ぎ予定の裕一にこびを売ったりする役柄で、コテコテの方言や、ややオーバーなリアクションが印象的だった。 望月が映画初出演を果たしたのは、2015年公開の『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』だ。望月は、不登校の生徒・柏木卓也という物語を動かす重要なキャラクターを演じており、強烈な印象だったので、今でも頭に焼き付いている。 2019年の『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)で演じた瀬尾雄大も、葛藤を抱えた高校生役で、お茶の間に大きな爪痕を残したと言えるだろう。 その後も、『エール』のほか、2021年のNHK大河ドラマ『麒麟がくる』、『消えた初恋』(2021年/テレビ朝日系)、『17才の帝国』(2022年/NHK総合)など、次々とTVドラマに出演していった望月。 映画も、『秘密 THE TOP SECRET(2016年)や『真田十勇士』(2016年)といった大作のキャストに名を連ね、『五億円のじんせい』(2019年)と『向こうの家』(2019年)では主演を務めている。 さらに、2022年公開の『妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪ー』で望月は、若き天才数学者・AITOを演じた。同TVシリーズでは、AIロボットとして声のみの出演だったが、映画版では小芝風花が演じる主人公・澪を翻弄する重要なキャラクターとして登場。澪にとっての“理想の王子様”的な存在として登場するAITOのビジュアルは、K-POPアイドルを想起させ、一瞬、望月だと気づかなかった。『ソロモンの偽証』の時の望月が頭に焼き付いていたが、そのイメージは更新され、演じる役の幅の広さに唸ったのを覚えている。 2024年は、すでに映画『カムイのうた』と『ゲバルトの杜 ~彼は早稲田で死んだ~』が公開され、ドラマも『痛ぶる恋の、ようなもの』(テレビ東京系)、『ケの日のケケケ』(NHK総合)、『老害の人』(NHK BS)、『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』(Prime Video)、『十角館の殺人』(Hulu)と出演作が続いている望月。 『虎に翼』の高瀬は、寅子の新潟での新生活に深く関わる人物の一人だが、また望月は新しい顔を見せてくれている。現在23歳の彼は、今後も数多くの作品でさまざまな表情を披露してくれるに違いない。
清水久美子