就労継続支援A型事業所“赤字”で約5000人が解雇・退職 障害者の賃金に「安すぎ」の声も…福祉だから仕方ない?一般企業への“壁”壊すべき?
■障害者雇用に尽力「“彼らとどう成長していけるか”しか考えていない」
久遠(くおん)チョコレートでは、障害のある人が全従業員の6割を超えている。業務内容・勤務時間は本人の希望が重視されで、直営店では障害による区別なく全員を一般雇用し、障害がある人の平均賃金は月16~17万円。B型事業所であるフランチャイズでも、平均賃金は月約6万円だという。 代表の夏目浩次氏は、もともとパン屋を営んでいたが、チョコレート作りがルーティンワークであることを知り、転向した経緯がある。「パンは総菜パンや菓子パン、食パンなど全てオペレーションが違うが、チョコレートは溶かして固めるの繰り返しで、失敗してもまた溶かすことができる」。そこへたどり着いた原動力には、「この人と、どうやって働き続けよう」「どう対価で答えよう」と向き合いつづけた日々があった。20年やってきても「まだ足りない」という思いがある。 「障害を『重い』『低い』で区別するのは、あまり好きではない」とも語る夏目氏は、工夫を重ねてきた。「A型やB型にも行けない介護主体の『生活介護』の方たちも、イチゴやレモンなどの粉砕をしている。最終商品を作る細かい作業が苦手でも粉砕はできるし、外注で何千万円もかけていたものを内製化できた。彼らと本気で向き合い、“どう成長していけるか”しか考えていない」。 さらに、粉砕作業も機械から石臼に変更。「素材が崩れずふわっと仕上がる。また、外注していた頃はロットで注文する必要があったが、内製化により、同じ“宇治のほうじ茶”でも、ほうじ方や生産者で分けられるようになった。それがブランド価値になり、商品力につながっている」ということだ。 こうした取り組みに松井氏は「夏目さんだからこそ、できた部分があると思う」としつつ、「自分たちに『できること』と『難しいこと』を知って、難しいところは他者とコラボすることが大事ではないか」と提案する。 夏目氏は「なかなかうまくできていない」と現状認識を明かしつつ、「それでも、いろいろなことを繰り返して、やり続けていくしかない」との思いを語った。(『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部