町職員採用試験は1泊のキャンプ…テント設営や食事作り、共同作業通じ適性見極め
島根県海士町は30日から12月1日、受験者とのキャンプを通し、町職員としての適性を見極める「キャンプ採用枠試験」を実施する。2021年度から不定期で行う取り組み。管理職や若手職員らとの共同作業を通し、町が受験者の協調性や自主性などを見極めるというものだ。希望者を対象に、オンライン説明会などを開いている。(佐藤祐理)
試験は、30日午後2時~12月1日午前9時に実施。受験者は最初に町役場で町の施策などの説明を受け、適性検査「SPI」を受検した後、夕方からキャンプの会場に移動する。会場は直前の天候や風向きなどを見極め、当日までに選ぶ。
受験者は食事のメニューを考え、職員らとテント設営や食事作りに挑む。調理後は食事を囲みながら歓談したり、町の施策について意見交換したりするほか、町への思いなどを語ってもらう。翌日は朝食後に、キャンプ採用に関する感想や、町に訪れて感じたことなどについて意見交換する。
町長ら町幹部は後日、オンラインか対面で最終面接を実施。受験者の人柄を踏まえた上で、協調性や自主性、町づくりへの熱意などを考慮し、採用の可否を総合的に判断するという流れだ。
導入は、採用担当者らで実施したキャンプがきっかけだった。当時、通常の筆記試験では全国的な人材不足で受験者がなかなか集まらず、新しい試験のあり方についてざっくばらんに話し合うことが目的だった。
蓋を開けると、それぞれがたき火を囲む中で、町の将来への思いを語ったり、役場では見せない一面を見せたりと大盛り上がり。食事準備など共同作業を通して協調性なども垣間見えることから、導入に向けた意見が一致したという。
町は、職員の副業や兼業を認める全国初の取り組み「半官半X」も合わせてPRしており、町総務課の松前一孝課長は「経験やスキルを生かし、色々な働き方ができるので、応募してほしい」と話している。
応募資格は今年4月1日時点で22~45歳で、採用は4人程度。申し込みは中旬まで。町は希望者を対象に、キャンプ採用枠の説明会を9日に東京、13日夜にオンラインで開く予定。問い合わせは、町総務課(08514・2・0112)。