スペイン東部、記録的豪雨の被害拡大 洪水の死者は200人超に
スペイン東部バレンシア州を中心に発生した記録的な豪雨による洪水の死者は1日までに200人を超えた。欧州メディアは、スペインの洪水災害としては数百人が犠牲になった1973年以来、最悪の被害と伝えている。州政府の対応が遅れたとして批判が出ている。 【写真】国民が敬愛した神父の性暴力、フランスに衝撃 疑念はバチカンにも バレンシア州の緊急対応当局は1日午後、29日朝から始まった集中豪雨による洪水の同州内の死者が202人に上ると発表した。現在も行方不明者の捜索が続いているという。中部と南部の州でも計3人の死亡が確認されており、今回の洪水による死者は合計で205人になった。 スペイン政府は軍を動員してバレンシア州の住民の支援にあたっている。だが、被災地では空き巣や強盗の被害も相次いで発生するなど、洪水による混乱は続いている。警察当局は被災地の商業施設などで31日夜までに強盗などの疑いで計50人の身柄を拘束したことを明らかにした。 欧州メディアが半世紀ぶりの歴史的な被害と伝える今回の洪水は、29日朝から断続的に降った非常に激しい雨が原因になった。スペインの気象当局によると、バレンシア州西部の町チバでは29日、8時間の雨量が年間降水量に匹敵する491ミリを記録。他にも過去最高の雨量を記録する地点が相次いだ。 犠牲者が集中しているバレンシア州では、市民団体や労働組合が州政府の対応の遅れが被害の拡大を招いたとして反発を強めている。浸水が始まっても授業を続けた学校があることや救助を求めるための緊急通話の電話が十分に機能しなかったことなどを例に挙げ、マソン州首相の辞任を要求。今月9日に抗議デモを実施すると発表した。(宋光祐)
朝日新聞社