新型コロナの「レプリコンワクチン」は長期免疫力で従来型を凌駕?「ランセット」姉妹紙に論文掲載
【役に立つオモシロ医学論文】 2024年10月から、各自治体において新型コロナウイルスワクチンの定期接種が開始されています。定期接種で使用可能なワクチンは、従来から接種されてきたmRNAワクチンに加え、組み換えタンパク質ワクチンやレプリコン(次世代型mRNA)ワクチンなど、5種類です。 新型コロナ陽性で両目が怖いくらい真っ赤に充血して… レプリコンワクチンは、従来型のmRNAワクチンと比べて、少ない有効成分で長期間にわたって感染症の予防効果が得られると考えられています。実際、同ワクチンの有効性は6カ月持続することが確認されています。そんな中、レプリコンワクチンの有効性について、12カ月にわたって追跡調査を行った研究結果が、世界的にも有名な医学誌「Lancet」の姉妹誌に、24年10月7日付で掲載されました。 日本で行われたこの研究では、18歳以上の健常者828人が対象となりました。被験者は、レプリコンワクチンを接種する群と、従来型のmRNAワクチンを接種する群にランダムに振り分けられ、ワクチン接種から12カ月後の免疫反応が比較されています。なお、免疫反応は新型コロナウイルスに対する中和抗体(ウイルスの病原性を奪う物質)の変化量で評価されました。 その結果、新型コロナウイルス(オミクロン変異株)に対する中和抗体の量は、従来型のmRNAワクチンでは接種から3~6カ月で大幅な下落を示した一方、レプリコンワクチンでは12カ月にわたって安定的に維持されていました。12カ月後の中和抗体の変化量は、従来型のmRNAワクチンと比較して、レプリコンワクチンで1.68倍(50歳未満)~2.14倍(50歳以上)でした。 論文著者らは「新型コロナウイルスに対する追加免疫の獲得において、レプリコンワクチンを優先的に考慮できる」と結論しています。 (青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)