中国海軍、ロシアの手引きでNATOの海を堂々と正面突破。深まる中ロの軍事協力
周囲をほとんどNATO諸国に囲まれたバルト海を堂々と通行する中国軍艦の目的地は、ロシアのバルチック艦隊の母港サンクトペテルブルク。中ロ両国は戦略的に足並みを揃え、軍事協力をますます強化している
中国海軍の艦艇2隻が7月20日、NATO艦艇のエスコートでバルト海に入った。2隻は式典に参加するため、ロシアのサンクトペテルブルクに向かって航行中だ。【ジョン・フェン】 【動画】デンマークの哨戒艇に続きバルト海を通過する二隻の中国艦艇 目撃者がX(旧ツイッター)に投稿した橋からの映像には、バルト海に浮かぶデンマークの島々の近くを、中国の052D型(旅洋III型)ミサイル駆逐艦「焦作」と903型(福池型)総合補給艦「洪湖」 が、先導するデンマークの哨戒艇とともに航行する様子を捉えている。 別の目撃者の投稿では、中国海軍の艦艇が、やはりバルト海に浮かぶデンマーク領の島々を結ぶグレートベルト(大海峡)橋の下を通過するところだった。 フィンランドとスウェーデンのNATO加盟によって、バルト海は大部分がNATO諸国に属することになり「NATO湖」とも呼ばれている。そうしたNATOの海域を、焦作と洪湖は数時間かけて通過した後、ロシア軍が駐留する飛び地カリーニングラードの沖を通ってバルチック艦隊の母港サンクトペテルブルクに向かうとみられる。 本誌はNATOの同盟海上司令部とデンマーク海軍に書面でコメントを求めたが回答は得られなかった。 サンクトペテルブルクでは毎年7月の最終土曜日に「海軍の日」の式典が行われる。ウラジーミル・プーチン大統領やロシア軍幹部が顔を揃え、近くの島から海上軍事パレードを観閲する。地元メディアは、中国海軍の艦艇の参加が予定されていると伝えている。 だが今週初め、サンクトペテルブルクの当局者はメインイベントである28日の軍事パレードが中止になったと発表した。理由は明らかになっていないが、代わりにもっと規模の小さい式典を市内各地で行うという。 中国がサンクトペテルブルクに自国の艦艇を初めて送り込んだのは2017年のこと。海軍の艦隊がバルト海でロシア軍と合同軍事演習を行った。2019年にも他の国々の艦船に混じって駆逐艦を式典に参加させた。 一方、ロシアの太平洋艦隊は先週、所属するフリゲート艦が南シナ海で行われた15日間にわたる中国海軍との合同演習を終えたと発表した。航行距離は4800海里に及んだという。