【バスケ】CS圏内3差のサンロッカーズ渋谷、逆襲の終盤戦へ ベンドラメ自信「どんなに強い相手でも戦える力ある」
オフにホーキンソンら補強も大黒柱欠き2勝9敗スタート
昨季は28勝32敗でシーズンを終え、CS進出を逃したSR渋谷。オフには日本代表のジョシュ・ホーキンソンや元日本代表の田中大貴らスター選手をチームに加え、補強に成功。また、アルバルク東京を2連覇に導いた名将・パヴィチェヴィッチ氏を指揮官に迎えるなど、チーム初の優勝に向けて体制は整ったかに見えた。 しかし、今シーズン開幕直前にチームの大黒柱であるジェームズ・マイケル・マカドゥが左肩のケガにより離脱。いきなりピンチを迎えたチームは、開幕から4連敗を喫し、最初の11試合を2勝9敗で終える波乱のスタートとなった。 それでも、ホーキンソンやベンドラメ、田中を中心にケミストリーを構築し、長崎ヴェルカでサポートコーチを務めていた43歳のジェフ・ギブスが電撃加入すると、徐々に勝ち星を伸ばし始める。パヴィチェヴィッチHCのディフェンシブなスタイルも次第に浸透していき、直近35試合は22勝13敗(勝率62.9%)と大きく勝ち越している。直近35試合の勝率は千葉ジェッツやシーホース三河、名古屋ダイヤモンドドルフィンズなどCS圏内にいるチームのシーズン成績とほぼ同じであり、ここにきてSR渋谷がCS争いに絡んできているのも納得だ。 チームの奮闘にはパヴィチェヴィッチHCも目を細める。 「現在の順位を見て、(CS圏内に)3勝足りないという状況を考えると泣きたい気分です。なぜなら、シーズンが開幕した時、我々の勝率は10%でした。そこから80%の試合を勝つようになった。その中で選手がケガで離脱することもあって、1ポゼッション差の接戦を落としてしまうことも何試合かありましたが、選手たちの頑張りを見ると、3勝足りないという現状でもよくやっていると思います」
「すごくチャンスある」 三河や川崎との対戦残す
3シーズンぶりのCS進出が見えてきたとはいえ、残り14試合で3ゲーム差をひっくり返すのは簡単なことではない。特に、CS進出圏最後の1枠に座る島根にはタイブレーカー(同じ勝率になった場合に順位が上になる権利)を握られており、もし島根とワイルドカードを争う場合にはSR渋谷が勝利数で上回らなければならない。今後は秋田ノーザンハピネッツや川崎、三河などCSの枠を争う相手との対戦も続くだけに、一戦一戦が非常に重要になる。 ただ、枠を争う相手との直接対決で勝利を重ねていくことができれば、SR渋谷のCS進出も現実味を帯びてくる。ベンドラメは話す。 「もちろんCSに向けて、(残りの試合を)一つも落とせないと思ってますし、(島根との)3勝差というのがすごく大きいと思う。勝ち切れる試合を勝ち切れないところもあったんですけど、1試合1試合しっかり自分たちのペースで試合を運んでいって、勝っていきたいですし、中地区で2位を狙ってやっていくのが一番ベストかなと思う。まだ三河とも試合があるし、川崎とも試合が残ってるので、そういった意味ではすごくチャンスあるんじゃないかなと思います」 指揮官は目の前の試合に集中することが重要だと強調する。 「このチームは去年の夏から始動したばかりで、いろいろなトラブルなどもありながらも、常に集中力高く、勝利を目指して毎試合戦っています。(CS圏内まで)3勝差で残り14試合。島根や広島、群馬、秋田、川崎といった我々の順位の前後にいるチームと争っていく状況はタフです。ですが、残りの試合を毎試合が一番重要な試合として取り組み、シーズンが終わったときに我々がどこにいるか。それを見てみたいと思います」 主力選手のケガなどで出遅れながらも着実にチーム力を高め、勝利を積み重ねてきたサンロッカーズ渋谷。「どんなチーム、どんなに強い相手でもしっかり戦える力はある」とベンドラメが語るように、今季はすでに三河や川崎からも勝利を挙げており、上位チームにも勝つ力は十分にある。残り14試合、混戦模様のCS争いを勝ち抜いていけるか。SR渋谷の逆襲に期待したい。
滝澤 俊之