なんと、放牧された牛の牛乳よりも「更に高評価だった牛乳」とは…「一般消費者のブラインドテスト」で露わになった「意外な結論」
毎日の食卓に欠かせない牛乳ですが、近年の研究により今まで知られてこなかった驚きの新事実が数多く明らかになってきました。 【画像】北海道の酪農は3つのタイプに分けられる! 一番生産量が多いのはどこ? そこで今回は、長らく牛乳の研究をされている三谷朋弘氏(北海道大学大学院准教授)による、最新の研究成果をお届けします。全3回にわたる興味深い研究成果を読めば、いつも飲む牛乳が一層味わい深くなること間違いなし! 第2回目のテーマは「牛乳の栄養と美味しさ」。北海道各地の牛乳を一般消費者にブラインドテストしてもらって得られた、意外な結論とは…? 早速見ていきましょう。
クジラのミルクは飲めたもんじゃない!
「牛乳は液状の固体です」。 何を言っているのか意味が分からないと思いますが、これは事実です。有名な話ですが、きゅうりやダイコン、トマトなどの果物は90数%が水分なのに対し、牛乳の水分は約88%(固形分が12%)しかありません。これだけの固形分がありながら液状であることは、多くの栄養を効率よく子供に与えようという生命の不思議、です。 実は動物種ごとに乳成分は大きく違います(下図「動物種ごとの乳成分の違い」)。 この違いだけからでもなぜ人間が牛乳や山羊乳を好んで飲んできたか分かります。水中に棲むクジラや寒冷地に棲むシロクマは固形分が40%以上もあり、しかも脂肪分が30%以上もあります。これはドロドロで飲めたもんじゃないですね。 イヌやブタも成分値からみると固形分が高すぎですね(それ以前に搾乳するのが大変ですが)。ウマの固形分自体は比較的ヒトに近いですが、ちょっとバランスが悪いですね。やはりウシやヤギの乳がちょうど良い、ということだったんだと思います。 不思議なことに、各動物の乳中のタンパク質およびミネラル(無機質)の含量と出生から体重が2倍になるまでの日数には、きれいな反比例の関係にあることが知られています。これは乳が唯一の栄養源である子供にとって、母親の乳成分と子供の身体の生長との関連を示しているとともに、乳離れまでに要する日数が動物毎に異なるということでもあります。ヒトはなかなか乳離れできない動物なんですね。