マツダのロータリーエンジンが2年後に復活か ―― スポーツカー復権の兆しも
マツダのロータリーエンジン搭載車「RX-8(SE3P)」。2013年6月、スポーツカー需要の低迷に加えて燃費性能の低さなどにより販売台数が落ち込み、研究開発は継続するものの、実質的にロータリーエンジンの生産中止が決定されました。ファンにとって非常に残念な出来事でしたが、最近になって「マツダのロータリー復活」というニュースが飛び込んできました。スポーツカーは復権するのでしょうか? EVにロータリーエンジン「マツダ RE レンジエクステンダー」とは?
RENESIS“16X”を継承か?
ニュースを報じたのは自動車専門ブログの「autoblog.com」。マツダUSAの関係者の話として、2年以内をめどに市販車へ搭載される可能性が高いと伝えています。マツダでは、ロータリーエンジンの発売40周年を迎えた2007年に「次世代RENESIS“16X”」の開発を発表し、同年開催の「東京モーターショー」でコンセプトモデルを公開しています。16Xは現状で市販車に未搭載となっていますが、今回の噂はこのエンジン開発を継承したもののようです。現在マツダで開発が進められている新型ロータリーエンジンは16Xそのものになるか未確定です。 このニュースは、ロータリーファンだけでなく車好きにとって衝撃的なものでした。RX-8の心臓部である「13B-MSP」では、名称的に“13B”の名を冠しているものの、新設計のポートやハウジングなどで従来と比べて高い燃費性能を実現しています。それでも、リーマンショックなど経済不況の影響、そしてエコカーブームの到来といった時代背景の中で、生き残ることができなかったのです。
相次ぐスポーツカー復権の兆し
世界でもトップクラスの実力を誇る、日本の自動車技術。その歴史において、数多くの“名機”と呼ばれるエンジンが開発されてきました。こうした名機の中でも、特に熱いファン層を有するといえばマツダのロータリーエンジンでしょう。レシプロエンジンにはない、特有のエンジンフィールやエキゾーストノート、軽量コンパクト設計が生み出す車輌全体の優れた旋回性能など、数々の点において魅了された方も多いはずです。 マツダは、1967年に「10A」搭載の「コスモスポーツ」を発売以来、長きにわたりロータリーエンジンの研究・開発・製造を続けてきました。その系譜は「ファミリア ロータリークーペ」「ルーチェ ロータリークーペ」「サバンナ RX-3」、「サバンナ RX-7(SA22C)」、そして「13B」搭載の「サバンナ RX-7(FC3S)」「アンフィニ RX-7(FD3S)」へ、脈々と受け継がれました。ロータリーファンなら、3ローター「20B」搭載の「ユーノスコスモ」や、1991年の「第59回ル・マン24時間レース」で総合優勝を果たした「マツダ787B」を思い出す方もいるでしょう。 円安やアメリカの景気回復、そして海外でのシェア拡大などを背景として、日本の自動車業界は回復傾向にあります。こうして生まれた企業の余裕が、スポーツカーの新規開発や、モータースポーツ事業の再開などに結び付いているのでしょう。 先日はスバルがSTI仕様の「スバル BRZ tS」を500台限定で受注開始したほか、日産が2014年に市販車「GT-R NISMO」を発売予定、といったニュースも飛び込んできました。autoblog.comが伝える2年後の2015年といえば、ホンダがマクラーレンにエンジンを供給し、F1への正式復帰を発表している年でもあります。 一般的に見れば、スポーツカーは決して“実用的”な車とはいえませんが、車好きとしては“遊び心のある車”や“乗っていて楽しい車”が増えることを切に願うばかりです。