【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ①】更年期のホットフラッシュと間違えやすい「バセドウ病」。手の震えがあったら可能性大!
【バセドウ病のおもな症状】 「多汗のほかに、内臓の働きが活発になり、特に心臓が影響を受けやすいことから高血圧や動悸、腸のぜん動運動が活発になるので腹痛、下痢、軟便になることもあります。ほかに手足の震えや筋力の低下、倦怠感、不眠、集中力の低下がおもな症状です。 特に特徴的なのが、眼球突出、甲状腺の腫れ(首の腫れ)、頻脈の3つの症状です。 眼球突出は眼球の後ろにある脂肪細胞や眼球を動かす筋肉に炎症やむくみが生じることで起こります。この症状は顕著に現れる人と、目立たない人、まったく症状が出ない人もいます。 多汗で月経不順などを伴うことが多いので、更年期の症状と間違われがちですが、この3つと、手の震えがある場合はバセドウ病が疑われるので、内科を受診することをおすすめします。 確定診断は上記の所見と血液検査で行われます。私が診ている婦人科では更年期の血液検査※に甲状腺ホルモン値も含めているので、その数値でバセドウ病が疑われる場合は内科を受診するように促しています」 ※婦人科の更年期の血液検査に甲状腺ホルモンの項目を設けているかどうかは、各医療機関によって異なる。甲状腺が気になる場合は、医師にその旨を伝えるといいだろう。 「内科の専門医での検査では、血液検査に加え、場合により甲状腺シンチグラフィというアイソトープ(放射性ヨウ素)検査、甲状腺の大きさを確認するために超音波検査(エコー)、心不全が疑われる場合は胸部レントゲン検査や心電図検査などを行い、総合的に判断します。 治療は抗甲状腺薬(チアマゾール、プロピルチオウラシルなど)の内服薬で、甲状腺ホルモンの分泌を抑える治療から始めます。動悸や頻脈などの交感神経過敏による症状には対症療法としてβ遮断薬が使用されることもあります。 また症状に応じて、アイソトープ内服薬の治療や甲状腺組織を外科的に切除する手術療法を行うこともあります。 バセドウ病と判明したら、定期的に通院して、症状を診つつ薬の種類や量を調整していきます。自分で気をつけることは、甲状腺ホルモンの高い状態のときは、心臓への負担を考えて激しい運動やストレス過多な生活を避けることが大切です」
【教えてくれたのは】 小川真里子さん 産婦人科医、医学博士。福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授。日本産科婦人科学会・日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。専門は更年期医療学、女性心身医学、女性ヘルスケア。相談やカウンセリングを中心としたケアサポートとともに、最新のテクノロジーや視点を取り入れて、更年期を取り巻く環境や文化を積極的にアップデート。 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/山村浩子