ピスタチオが「加齢黄斑変性」のリスク軽減に効果ある可能性【最新研究】
<ピスタチオを食べた人々は、わずか6週間で黄斑色素光学密度(MPOD)に有意な増加があった。高齢期の失明予防に役立つ可能性のある、おいしいナッツの効能>
年齢を重ねるにつれて衰える目や脳をピスタチオが保護する可能性について、タフツ大学による最新研究が発表された。本研究の筆頭著者である、タフツ大学フリードマン栄養科学政策大学院、および医学大学院のタミー・M・スコット教授は本誌に次のように語る。 【関連動画】ピスタチオはこうできる…栽培、収穫から製品化まで 「ピスタチオは、必須ビタミン、ミネラル、抗酸化物質のある栄養豊富なナッツです。特に興味深いのは、ルテインという目の健康に重要な役割を果たす天然色素が含まれていることです。 ルテインはブルーライトや酸化ストレスによる目のダメージから目を保護するのに役立ちます。そのため単においしいおつまみというだけでなく、特定の健康効果を持つ機能性食品と言えます」 タフツ大学の研究者チームはルテインに含まれる抗酸化物質と、その補完成分であり、ほうれん草のような濃い緑色の葉野菜、卵黄、そしてピスタチオに含まれるゼアキサンチンも調査した。 その結果、1日2オンス(約56グラム)のピスタチオを食べることで、目の健康の重要な指標となる「黄斑色素光学密度(MPOD)」が顕著に増加していることが判明。黄斑色素光学密度(MPOD)が網膜を保護し、高齢者の失明の主因である「加齢黄斑変性(AMD)」のリスクを軽減することも確認されている。 「ピスタチオを研究対象にしたのは、目を保護する役割で知られるカロテノイドの一種であるルテインを多く含んでいる、唯一のナッツだからです」とスコット教授は語る。 ルテインとゼアキサンチンが網膜の中央部分に蓄積することで有害なブルーライトを遮り、摩耗が減ると説明する。そして栄養吸収を助ける良質な脂肪分も含まれているため、黄斑色素光学密度(MPOD)の増加につながる効果的な食事戦略になると仮説を立ている。 この仮説を検証するため、低量のルテイン摂取以外に健康上に問題のない、40歳から70歳までの成人36人に対して、「ランダムランダム化比較試験(RCT)」を実施。 被験者は2つのグループに無作為に分けられ、1つのグループは通常の食事を続け、もう1つのグループは1日2オンス(約56グラム)のピスタチオを追加摂取した。これはピスタチオを約2握り分で、ルテイン摂取量がほぼ2倍になる。 実験前、実験途中(6週目)、および実験終了時(12週目)に被検者の黄斑色素光学密度(MPOD)レベルを測定した結果、明確な結果が出たとしてスコット教授は次のように述べる。 「ピスタチオを食べた人々は、わずか6週間で黄斑色素光学密度(MPOD)に有意な増加がありました。これはピスタチオを定期的に摂取することで、網膜のルテインレベルを増加させ、目の健康を維持するのに役立つ可能性があることを示唆しています」 ルテインはまた、血液から脳に入り、抗酸化作用で炎症を抑え、認知症などのリスク因子とされる炎症を抑えることによって脳の健康にも役立つ可能性がある。既存の研究では、ルテインの摂取量が多い人は、高齢期における記憶力や処理能力の向上が示されている。 「ピスタチオを単なる健康的なスナック以上のものと見なしてくれることを願っています。この研究結果は、ピスタチオが長期的な目の健康をサポートするための簡単、かつ自然な方法である可能性を示しています。年齢を重ねるにつれて視力問題のリスクが増すため、特に重要です」 「個人的には、ピスタチオをそのまま殻から取り出して食べるのが好きです」と述べるスコット教授は、サラダ、ヨーグルト、自家製グラノーラ、マフィンのような焼き菓子にもおススメだという。 本研究はアリゾナ州、カリフォルニア州、ニューメキシコ州、テキサス州のピスタチオ栽培者、加工業者、業界パートナーを代表する非営利団体「アメリカン・ピスタチオ・グローワーズ」とアメリカ国立衛生研究所から研究助成を一部受けており、10月18日に『栄養学雑誌(The Journal of Nutrition)』に掲載されている。 【参考文献】 Scott, T. M., Ogunbodede, O., McKay, D., Johnson, E. J. (2024). Pistachio consumption increases Macular Pigment Optical Density in healthy adults: a randomized controlled trial, The Journal of Nutrition.
ハッティ・ウィルモス