現代から紀元前1万年まで…3つの時代をタイムトラベルしながら家族との再会を目指す 「ラ・ブレア」シーズン3を振り返り
「THE MENTALIST/メンタリスト」や「NCIS:ニューオーリンズ」の脚本を務めたデヴィッド・アッペルバウムが、脚本と製作総指揮を務めるSF超大作「ラ・ブレア」(※Huluにてシーズン1~3を見放題配信中)。突然現れた巨大な陥没穴の先に広がる紀元前1万年の世界を舞台に、命がけのサバイバルを繰り広げながら、離れ離れになった家族との再会を目指す様子が描かれる。本記事では、紀元前1万年と1965年、そして2021年を行き来しながら、陥没穴に隠された秘密に迫っていく“シーズン3”を、見どころとともに振り返っていく。(以下、一部作品のネタバレを含みます) 【動画】オーエン・マッケンらキャスト陣が「ラ・ブレア」シーズン3の魅力を語る ■イヴの居場所を知る“謎の人物”からギャヴィンに連絡が入る 謎の陥没穴に吸い込まれ、生存者たちは紀元前1万年の世界で身を寄せ合っていた。そんな折、突然キャンプに恐竜が出没し暴走を始める。虚しくもキャンプが破壊されていく中、医師であるサム(ジョン・セダ)の娘のライリー(ヴェロニカ・セント・クレア)が恐竜に襲われてしまう。しかし紀元前1万年の医療技術ではどうすることもできず、ライリーは感染症にかかり危ない状況に…。 一方、主人公・ギャヴィン(オーエン・マッケン)は前シーズンで離れ離れになってしまった妻のイヴ(ナタリー・ジー)の居場所を突き止めるため、パソコンの電源を入れようと悪戦苦闘していた。そしてなんとか復元すると、見知らぬ通信相手から“シエラという人物を探すように”というメッセージが入る。 過去の記憶を失っていたギャヴィンは、以前シエラという女性が自宅を訪れていたという記憶を断片的に思い出す。シエラは自分の本名を“マヤ・シュミット”と明かしたが、その正体は“基地から逃げてきた”というペトラの母親だった。 失踪したペトラが通信相手の手掛かりになることを知ったギャヴィンと友人のリーヴァイ(ニコラス・ゴンザレス)は、二手に分かれて彼女を必死に探すが、その途中でリーヴァイは基地の人間に麻酔銃のようなものを打たれて捕まってしまう。 一方、リーヴァイと分かれてペトラを探すギャヴィンは、発信源と思しき場所に2色のオーロラを発見。一緒にいたタイ(チャイク・オコンクォ)は、片方の青いオーロラに吸い込まれていく。その後ギャヴィンたちは“ラデラ空軍基地”と書かれた壊れたヘリを発見し、一行は基地を目指すことに。 その後、ギャヴィン、サム、スコットは基地を目指す道中で“シエラ=マヤ”に出会う。そしてマヤは、タイムトラベル実験で役目を終えたギャヴィンの記憶を消したことを白状した。ギャヴィンはマヤから話しを聞いたことで再び記憶を取り戻すと、“どうやらマイクロチップが鍵になっている”ということを思い出すのだった――。 ■物語のカギとなる“マイクロチップ”を巡って、波乱の展開が巻き起こる 青いオーロラに吸い込まれたタイは2021年、陥没穴が発生する前のロサンゼルスに行きついた。タイは医師のサムとギャヴィンに会いに行き、これから起こる出来事を話して協力を仰ごうとする。最初はなかなか信じなかった2人だったが、タイの必死の説得の甲斐あって、タイに協力してくれることになる。 しかし、せっかく協力者になったのもつかの間、ギャヴィンが何者かに連れ去られてしまう。途方に暮れたタイとサムだったが、置き忘れて行ったギャヴィンの携帯へ人類学者のスコット(ロハン・ミルチャンダニー)から連絡が入る。実はギャヴィンが紀元前1万年からスコット宛てに手紙を送っており、そこには“マイクロチップを紀元前1万年に送れ”と書かれていたのだった…。 一方、ギャヴィンを拉致した相手は彼の実の妹・ヘレナであることが判明する。実は、ギャヴィンが記憶をなくす前、政府のプログラムを阻止しようとした2人は一緒にマイクロチップを金庫に隠していた。その後2人は指紋認証で金庫を開け、ギャヴィンはついにマイクロチップを手に入れる。 その後ヘレナはギャヴィンをオーロラの場所へと案内し、「政府のプログラム元がある1965年に行き、プログラムそのものを破壊しよう」と誘うのだが、ちょうどそこへタイとサムがやって来て、ギャヴィンがスコットに託したメッセージを伝える。ギャヴィンはどうすべきか迷ったものの、結局タイにマイクロチップを託すのだった――。 一方、紀元前1万年では山火事が発生。住民が避難する中、ギャヴィンは政府のプロジェクト側の人間のある特徴を思い出す。それは“腕に3つの傷がある”という記憶で、スコットはその傷を持つ人物を見つけるのだが…。 この後、物語は急展開を迎える。ギャヴィンたちを裏切っていた“意外な人物”とマイクロチップを巡って闘いが勃発。さらにギャヴィンたちはイヴがいると思われる場所へ向かい、再会を果たすために奔走する。 はたして、ギャヴィンたちは黒幕の計画を阻止し、マイクロチップを手に入れて家族と再会することができるのか…。シーズン3では、恐竜たちが暴れる迫力満点のシーンに加え、先の読めないハラハラドキドキの展開が繰り広げられる。 ■固い絆で結ばれている登場人物たちの想いに注目 紀元前1万年、1965年、2021年と3つの時代が交錯しながら展開していく「ラ・ブレア」シーズン3。本シーズンでは、ヘレナとギャヴィンが隠した“マイクロチップ”をカギに、自らの利益のためにそれを狙う人物、そして記憶を頼りにただ“家族との再会”を果たそうとするギャヴィンの2人が対照的に描かれていた。 本作の大きな見どころとしては、家族や友人など、大切なものに対する登場人物たちの想いにある。まず、過去に家族と分かち合えず後悔してきたギャヴィンは、陥没穴に落ちた家族のピンチに直面し、押し込めていた想いが再燃。時には自らの危険を冒してまで家族を守ろうとする行動には胸が熱くなる。 またシーズン3では、ギャヴィンの実妹であるヘレナとのエピソードも注目ポイントだ。ヘレナとギャヴィンは政府の計画を阻止するためにマイクロチップを一緒に隠し、メキシコに国外逃亡したが、彼はヘレナ1人に罪を押し付けてしまう…という過去が明かされた。 このことからヘレナは家族の愛を知らず孤独に生きてきたが、ギャヴィンが心から謝罪したことでヘレナ自身も救われることになる。たとえ長い間会っていなくても、家族を想う気持ちは変わらないものだと実感できる、感動的なエピソードが描かれている。 さらに、紀元前1万年の人間と、タイムトラベルした生存者の間に芽生えた絆も見どころの一つ。生存者の一人であるタイは、紀元前1万年の先住民・パアラと結婚し、シーズン3ではパアラが行方不明になるシーンもありハラハラしたが、タイが必死にパアラを捜す姿が印象的だった。また彼らが一致団結して黒幕に立ち向かっていく姿からも、熱い絆が感じ取れる。 そして、ギャヴィンの娘・イジー(ザイラ・ゴレッキ)と先住民のレイラにも注目。2人の間には友人以上の絆が生まれ、レイラがタール池に沈みそうになった際も、イジーが必死に助けようと奮闘するシーンが描かれている。生きる時代や価値観が違うこともあれど、相手を尊重し思いやる気持ちを持つ登場人物たちの言動には、思わず胸を打たれるだろう。 陥没穴の登場により日常を失った生存者たちだが、過去の確執を乗り越えたり、新しい出会いがあったりと、ヒューマンドラマとしても非常に見応えのある作品に仕上がっている。 ◆文=ザテレビジョンドラマ部