【ライブレポート】Novelbright、世界遺産・姫路城でライブ!「手を取り合って人生を一緒に歩いていけたら」
■「Awesome life」では、竹中雄大が客席から登場するうれしいサプライズも! 【画像】姫路城三の丸広場講演の様子(ライブ写真全8枚) 2022年、東京・日本武道館。2023年、大阪・大阪城ホールと神奈川・横浜アリーナ。平坦ではない道のりを一歩一歩進んできたNovelbrightが結成11年目のあらたな挑戦の舞台に選んだのは兵庫・姫路城三の丸広場だった。 2024年4月にリリースした3rdフルアルバム『CIRCUS』を携え、全29公演を開催した『Novelbright LIVE TOUR 2024~CIRCUS~』。竹中雄大(Vo)の骨折による開催延期をはじめとする困難を乗り越え、10月5・6日、ツアーファイナル『Novelbright LIVE TOUR 2024 ~CIRCUS~ FINAL IN 姫路城 三の丸広場』へと5人は辿り着いた。 竹中の出身地である姫路への凱旋、自身初となる2日間の野外ワンマン、バンド史上最大規模、世界遺産姫路城の通天閣を正面に臨むロケーションと、いずれの要素を取り上げてもエポックメイキングな同ライブには、Novelbrightのライブ常連、未経験を問わず全国からファンが駆けつけ、記念すべき1日を祝福した。 そのなかには、ライブ直前に竹中がSNSで発信したメッセージに応え、来場を決意したオーディエンスもいただろう。地道な努力と形容するのでは物足りないひたむきさは、アリーナクラスのアーティストになった今でも路上ライブ時代から変わらず彼らの活動に一貫するものであり、そういったアティチュードを大切にしているからこそ、5人の放つ一糸纏わぬストレートなメッセージは私たちの胸に飛び込んでくるのだ。 西日が目に染みる16時過ぎ、まずはオープニングアクトのTHE AGULが登場。大舞台に後輩を呼ぶことができるほど、Novelbrightが先輩としてのキャリアを重ねている事実に10年という月日の長さを感じる。とはいえ、後輩をフックアップしたいという思い以上に、6年ぶりの対バンになるという信頼する仲間に大切な舞台の開幕を託したいと思っていることは明らかだ。 THE AGULもその期待に応えるべく、「爪痕をバッチリ残します!」「Novelbright唯一の生意気な後輩です。始まりからクライマックスにしたろうと思ってます!」とアジテートしつつ、爪弾かれるアコースティックギターが会場を揺らした「I Don’t Care」や、夢を追う日々の支えである仲間への信頼を歌う「Believe」を披露。「次は絶対、俺らが呼んだるから」と約束を交わし、フルスイングでNovelbrightへバトンを繋いだ。 日も傾き、白鷺城と呼ばれる姫路城も薄いオレンジに染まり始めた17時。竹中の親友である格闘家の安保瑠輝也が舞台に姿を現す。安保は前説を務めることになった裏話を暴露したり、格闘家らしくミット打ちを披露したりと笑いに満ちた時間を作り出し、会場の一体感を高めた。 安保の温めた空気が漂うなか、ピアノの叙情的な旋律が鳴り始める。まずは、山田海斗(Gu)、沖聡次郎(Gu)、圭吾(Ba)、ねぎ(Dr)の4人が水色と白を基調としたサーカステントを喚起させる舞台に登場し、一気にスタジアムロック直系のラウドなサウンドスケープを描く。舞台下から登場した竹中が「行くぜ、姫路!」と狼煙を上げるとスクリーンには5人の姿が映し出され、「フェアリーテール」で鮮やかに幕が上がった。 PHOTO BY 日吉“JP”純平 間髪入れずに、山田のアコースティックギターのカッティングから“前人未到のストーリーを始めよう”と高らかに宣誓する「開幕宣言」を投下すると、「最終日!昨日を超えていこうぜ」の一言で“栄光を掴むこの手で明日を変えていくんだよ”と過去を回帰しつつも未来への決意をあらたにする「ラストシーン」を重ねていく。 初っ端からクライマックスと見まがうほどの壮大さを生成した冒頭3曲で、5人が始まりと終わりを表裏一体だと捉えていることがわかる。思えば、彼らはRPGのように次から次へと巨大な敵に挑んできたのであり、全力で到達したひとつのゴールに甘んじることなく、あらたなフィールドに足を踏み入れてきた。 PHOTO BY 日吉“JP”純平 ともあれば、今回の大きな挑戦もまだまだ通過点のひとつ。現在地を、そして次なる野望を早々に確かめたからこそ、丸みを帯びた圭吾のベーススラップがジャジーな大人の色気を漂わせる「サクリファイス」や沖が鳴らすシンセサイザーとねぎのハイハットが絡み合うダンスチューン「名残」、ミニマムなサウンドスケープと壮大なコーラスワークが印象的な「Turn Back Time」といった今作『CIRCUS』のネクストステージ感を標榜する楽曲群が濃く色を放つ。 PHOTO BY KEIKO TANABE ツアーが終わってしまう寂しさや感謝を伝えたのち、メンバー紹介でアットホームなムードを建設したMCを終え、ライブ中盤は「友人(大倉士門、池田美優)の結婚式に寄せた曲」と語られた新曲「アイビー」で滑り始めた。 ピアノの音色とウエディングベルを喚起するギターリフが鳴るなか、“『愛してる』を超えた言葉を君と見つけたい”というラインが幸福なふたりを綴るウエディングバラードでメロウな質感を生み出すと、「夢花火」へと突入。かと思われたが、救護のため音を止める。 この日は幾度かこういった出来事があったのだが、そのたびに「一緒にライブを作ってくれてありがとう」と竹中は告げ、ファンからは温かな拍手が送られていた。5人とオーディエンスの信頼関係が伺えるひと幕から「夢花火」を再開すると、「雪の音」に移る。すっかり黒く染まった空と白さが映える姫路城をバックに、夏と冬のラブバラードが染み渡った。 PHOTO BY KEIKO TANABE 電脳空間を連想させる映像と電子音が流れると、お立ち台に上った山田と沖、圭吾が攻撃的なリフを鳴らし、ギアチェンジ。ねぎを加えた4人のソロ回しで温度を上げ、「seeker」へ雪崩れこむ。 赤いレーザーと乱れるスクリーンが火花を散らすと、観客が着用するバングルライトの光の波も大きくなっていく。「Make some noise!」「姫路、後半戦!」と煽りつつ、アグレッシブなベースとダークな部分を吐き捨てるリリックがシンボリックな「Empire」、大合唱が湧出した「Morning Light」を連投。 “そっと支えてくれる仲間が こんなにいること忘れないでいて”の一節に呼応してフロアを指さす竹中の姿に、ここまで仲間を増やすことができたのは、5人が一貫して広大な会場を満たすレンジの広いロックを鳴らしてきたからだと実感した。 PHOTO BY KEIKO TANABE MC中に席を外した竹中に構うことなく、「Awesome life」をスタートさせる4人。すると、竹中が客席から登場するうれしいサプライズが。会場を走り回る竹中は、密着のために来場していたという西川貴教やTHE AGULのケン(Vo)とともに歌唱を続け、幸福感に満ちたワンシーンを完成させる。青空を彷彿とさせる突き抜けた純真さに客席から歓声が送られた「Sunny drop」を経て、竹中はこう語った。 「皆に協力を煽って気づいたけど、俺ってファンの皆に助けられているなって。Novelbrightのボーカルで良かったと思えるのは、皆のおかげです。たくさん助けてもらっているぶん、皆に幸せを与えられるような温かくてでっかいバンドになっていくから。だから、生きていて良かったと思える人生を、手を取り合って一緒に歩いていけたらと思います」 幸せを与え合うことのできる関係への感謝とこれからもともに歩んでいくという誓いを立てたMCからクライマックスを彩ったのは、ここまでずっと歌い続けてきた「Walking with you」。銀テープが舞うなかで届けられた“この先もあなたと二人でもっともっと前へ歩きたい”の一節は先刻のMCとシンクロし、強く響く。最後は客席から掲げられたライトが宇宙を作り上げた「流星群」で未来への手紙を綴り、ピリオドを打った。 PHOTO BY KEIKO TANABE アンコールはスポットライトを浴びた竹中のアカペラが空気を震わせた「ツキミソウ」でキックオフ。来年2025年に開催されるメジャーデビュー5周年のアリーナツアーを発表すると、興奮冷めやらぬフロアに「拝啓、親愛なる君へ」をドロップする。 Novelbrightのロゴが映されたあと、5分割でメンバーが映し出される様子は、他でもないこの5人でNovelbrightであることを示す。最後の1音まで純然たる愛を送り、舞台を降りた5人だった。 PHOTO BY 日吉“JP”純平 こうして幕を下ろした『CIRCUS』ツアー。ライブ冒頭で示されたとおり、ひとつの旅の終わりはあらたな旅の始まりだ。まずは2024年10月8日に本ツアーの裏ファイナルとなる『Novelbright LIVE TOUR 2024 ~CIRCUS~ 裏ファイナル』を大阪・梅田BANGBOOで開催。そして、2025年4月12日からは全7都市10公演のアリーナツアーが大阪・大阪城ホールを皮切りにスタートする。今宵、ファンから届けられたパンパンの愛情を胸に、Novelbrightは進化を続けていく。そんな揺るぎない確信とともに、姫路城をあとにした。 TEXT BY 横堀つばさ PHOTO BY KEIKO TANABE ※メイン写真 ■『Novelbright LIVE TOUR 2024 ~CIRCUS~ FINAL IN 姫路城 三の丸広場」DAY2 10月6日(日)兵庫・姫路城 三の丸広場特設会場 <セットリスト> Magnificent(SE) 01. フェアリーテール 02. 開幕宣言 03. ラストシーン 04. サクリファイス 05. 名残 06. 愛とか恋とか 07. Sensation 08. Everywhere I Go 09. Turn Back Time 10. アイビー ※新曲 11. 夢花火 12. 雪の音 13. INST(Cocytus) 14. seeker 15. Empire feat. Novel Core 16. Morning Light 17. Awesome life 18. Mission 19. Sunny drop 20. Walking with you 21. 流星群 [ENCORE] 22. ツキミソウ 23. 拝啓、親愛なる君へ ライブ情報 2025 Novelbright ARENA TOUR [2025年] 04/12(土)大阪・大阪城ホール 04/13(日)大阪・大阪城ホール 04/26(土)福岡・マリンメッセ福岡B館 05/24(土)北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナ 06/21(土)愛知・Aichi Sky Expo ホールA 06/28(土)東京・有明アリーナ 06/29(日)東京・有明アリーナ 07/19(土)宮城・仙台市内会場 (後日発表) 08/16(土)兵庫・神戸ワールド記念ホール 08/17(日)兵庫・神戸ワールド記念ホール
THE FIRST TIMES編集部