【学生長距離Close-upインタビュー】名門・中大の頼れるキャプテン湯浅仁「箱根は全力で勝ちにいきたい」
名門・中大の駅伝主将として牽引
そして今季は駅伝主将としてチームを牽引。「主将として言葉に説得力がないといけません。そのためには結果を残して、取り組む姿勢を見せていきたい」との言葉どおり、レースではクレバーな走りが光っている。 5月の関東インカレは1部ハーフマラソンで2位に入り、日本人トップに輝いた。出雲駅伝は6区で区間2位。9位から7位に順位を押し上げた。 そして全日本大学駅伝はエースが集結した7区を快走する。國學院大・平林清澄(3年)と大激戦を演じて、最後は先着。区間賞を獲得した平林と5秒差の区間2位だった。 「出雲はアンカーでしっかりと結果を残せました。全日本は(37秒前にスタートした)青学大との差を詰めたかったので、後ろから来た平林君を利用するようなかたちで、前を追いかけたんです。最後は8秒差まで詰め寄ることができました。冷静な判断ができて、イメージ通りの走りができたと思います」 一方で、チームは伸び悩んだ。出雲は7位、全日本は4位。シーズン当初、「学生駅伝3冠」を目標に掲げていただけに、当然この成績には納得していない。 「出雲、全日本と悔しい結果が続いたので、第100回大会の箱根駅伝は絶対に勝ちたいと思っています」
最後の箱根路へ「任された区間で求められた仕事をするだけ」
中大は今年の箱根駅伝で2区、3区と連続区間賞を獲得した吉居大和と中野翔太(ともに4年)、5000mで現役日本人学生トップの13分22秒01を持つ吉居駿恭(2年)らを擁している。 総合優勝を狙うために、エースが集う2区は誰が走るべきなのか? という問いに湯浅はこう答えた。 「2区は大和がベストじゃないでしょうか。前回あれだけの結果を残しているので、大和が万全な状態なら往路で流れをつかめると思っています」 ロードの強さには定評があった湯浅だが、MARCH対抗戦の10000mで自己ベストを20秒以上も短縮。スピードも身に着けて、最後の箱根に臨むことになる。 「区間に強いこだわりはありません」と言うが、他大学のエースと勝負したいという気持ちも持っているようで、「2区を任されたら1時間7分を切らないと優勝は見えてきません。9区なら区間記録(1時間7分15秒)の更新、最低でも1時間7分30秒切りは目標にしたいです」とも言う。ただ、最後には「任された区間で求められた仕事をするだけです」と締めくくった。 総合優勝を勝ち取るには、出雲と全日本を完勝した最強王者・駒大を倒さないといけないが、「箱根駅伝は10人が20㎞以上走るので、どこかに隙が生まれます。駒大といえども、出雲、全日本のような完璧なレース展開に持っていくのは簡単ではない」と考えている。 「1区は区間賞、もしくは先頭が見える位置でつなぎ、2区のエースが決定打を打って、3区、4区は逃げ切る。山は自信があるので、往路をトップで折り返したい。そうすれば可能性が見えてくるかなと思います」 入学してから、「第100回大会で優勝しよう!」と仲間たちと声を合わせてきた。 「2日間、全力で勝ちにいきたい」 大学入学時はチーム最後尾だった男がキャプテンとして名門・中大を引っ張り、箱根駅伝で28年ぶりの栄光をもたらすつもりだ。 ◎ゆあさ・じん/2001年8月27日生まれ、宮崎県宮崎市出身。木花中→宮崎日大高→中大。自己記録5000m13分55秒60、10000m28分12秒17、ハーフ1時間2分35秒。
酒井政人/月刊陸上競技