【訂正・オーシャンS回顧】トウシンマカオに本格化の兆し 好走ゾーンを広げ一流スプリンターへ
適性の幅を広げたトウシンマカオ
トウシンマカオが京阪杯に続いてここも突破し、重賞3勝目を手にした。不良馬場だった昨年高松宮記念15着から復帰後、スプリント重賞に限ると、3、3、1、1着と崩れなくなった。 【弥生賞2024 推奨馬】前走タイムは世代屈指の好タイム、複勝率50%データにも該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 今回の勝利は本格化という意味について考えさせられた。トウシンマカオがはじめて1200m戦に出走したのは3歳夏のキーンランドC4着。勝利はその次走オパールS。阪神芝1200mで前後半600m33.8-34.8と極端に上がりがかからない競馬になり、34.0の末脚を繰り出した。重賞初制覇となった京阪杯も33.3-33.9を好位から33.0で抜け出した。バテ比べにならず、末脚勝負に徹する軽めの舞台こそ、トウシンマカオの得意ゾーンだった。 その反面、昨年3着に敗れた2走、函館SSの33.0-35.2、重馬場のキーンランドCで34.3-35.6と上がりが要する舞台になると、わずかに伸びきれない面をみせた。 適性に左右されるからこそ、競馬は勝ち負けがレースごとに変わっていく。トウシンマカオもかつては後半にラップが落ち込まない展開で狙い、上がりがかかる競馬で評価を下げていた。 しかし、今回、中山芝1200mをこなし、進化を感じた。昨年の京阪杯は33.7-33.7の得意ゾーンだったが、オーシャンSは33.3-34.7と前後半の差は1秒4もあった。得意ゾーンと比べると、上がりが要する部類に入るレースだった。序盤から下り坂を駆けていく中山芝1200mにはよくある流れで、中山巧者はこの前傾ラップに強い。トウシンマカオがこの流れを余裕さえ感じる走りでクリアした。
晩成の血が開花
不得手なゾーンが小さくなり、ホームランを打てる範囲が広くなる。これが本格化だ。適性が広がれば、凡走する確率も減っていく。負けなくなる馬にはそんな共通項があり、トウシンマカオも1200mなら負けない強さを身につけたといっていい。走れるラップバランスの広さは一流スプリンターに欠かせない要素だ。 父ビッグアーサーは4歳時8戦5勝、重賞初制覇は5歳での高松宮記念だった遅咲きスプリンター。その父サクラバクシンオーも4、5歳時にスプリンターズSを連覇した。産駒には早期から活躍できる馬もいれば、晩成もいる。 もはや貴重になったテスコボーイの血はキタサンブラックの母の父などに残り、ビッグアーサーを通じてトウシンマカオや2着ビッグシーザーに注がれる。成長力を支え、スピードを伝える血だ。大事にしていけば、必ずいつか花開く。トウシンマカオもそんな典型だろう。GⅠを勝ってテスコボーイの血をさらに未来へつないでいってほしい。