【訂正・オーシャンS回顧】トウシンマカオに本格化の兆し 好走ゾーンを広げ一流スプリンターへ
もっと強くなるビッグシーザー
2着ビッグシーザーは同じビッグアーサー産駒だが、2歳から3歳前半でオープン3連勝と早くから期待されていた。3歳後半は古馬相手に10、12、5着と壁に当たった。4歳初戦の淀短距離Sを強気な競馬で押し切ったことにより、スランプを脱し、ひと皮むけた印象がある。 今回はトウシンマカオの背後に控える競馬から、最後に伸びてくる味な競馬をみせた。こちらはトウシンマカオより前傾ラップに強く、ハイペース向き。得意ゾーンでの好走だった。控えて末を伸ばせたのは今後に向け、競馬の幅を広げたといえる。こちらはまだ4歳。ここから来年にかけてもっと強くなりそうだ。 3着バースクライはビッグシーザーとハナ差だった。1、2着馬の背後のインからレースを進め、内を通る利点を生かしきれた。現状の力関係を考えれば、シルクロードS9着から前進した。 2走前に中山芝1200mで条件戦を突破しており、中山特有の前傾ラップへの適性が高い。関西圏には前傾ラップになりやすい1200mは多くなく、地元で凡走、遠征で好走を繰り返しそうだ。小倉芝1200mだと前半速くなりすぎてしまう可能性はあるものの、夏の小倉はバースクライ向きのレース展開になる確率が高い。オーシャンS好走は前傾ラップに強い証であり、つかんだ適性を次走以降、馬券に生かそう。 4着ヨシノイースターは前走小倉でオープン勝ち、昨春は中山で前傾ラップを差し切っており、適性の高さは示した。重賞だと少しスピード負けする。 4番人気シュバルツカイザーは13着。中山適性の高さを考えると、凡走は意外な印象もある。重賞だとダッシュ力で見劣るようで位置をとれなかった。道中の走りも馬場を気にしていた。良馬場のオープン特別なら見直せる。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。 【訂正】初出時、画像に誤りがありました。お詫びして訂正いたします。(3月4日13:15更新)。