警察の公安活動「規律策定を」 プライバシーの侵害懸念
名古屋高裁は13日、岐阜県警の「公安部門」による特定の住民に着目した個人情報収集を違法とする異例の判断を示した。 山田秀樹弁護団長は「目的が市民活動を監視するためならそもそも違法だと、ずばりと認めてくれた」と評価。情報を集めていたのは大垣署警備課の警察官らで、原告船田伸子さんは「情報収集の手が伸びることに恐怖を感じていた。公安警察によって住民を分断し、知らない間に孤立させるのが今の社会だ」と非難した。 岐阜県警は公共の安全と秩序の維持が職務だとして一貫して妥当性を強調した。裁判でも警察官の証人尋問に応じず、原告側は企業が作成した情報交換の議事録から、収集された個人情報を特定し抹消命令への道筋を付けた。 高裁判決は個人情報の収集、保有、提供の違法性を認め「『公共の安全と秩序の維持』を名目としてフリーハンドで活動することは許されない」と厳しく指摘した。 関西学院大の小西葉子専任講師は今回の判断を踏まえ「警察活動が根拠とすべき法的規律の議論や検討が、国の立法政策上でも進められることを期待する」と述べた。