【ライブレポート】西野カナ、復活ライブ初日の興奮。2日間限定ライブ『Kana Nishino Love Again Live 2024』を振り返る
■“君の描く未来に 私はいるのかな”と再会を願うその歌は、今日この瞬間のために作られたと思うほど見事にハマっていた 【画像】『Kana Nishino Love Again Live 2024』より 2019年2月から無期限の活動休止をしていた西野カナが、今年6月25日にアーティスト活動を再開することを公式InstagramとX(旧Twitter)で発表した。7月5日に配信された復帰初となる「EYES ON YOU」は配信チャート首位7冠を達成。9月18日には5曲収録のEP『Love Again』をリリースし、本格的に動き出した。そんな西野は11月13日、14日に神奈川・横浜アリーナにて2日間限定のライブ『Kana Nishino Love Again Live 2024』を開催した。本稿では初日公演の模様をレポートする。 ■「おかえりー!」という声援に対し「ただいまー!」と声高らかに返す ライブのチケットは発売と同時に即完。会場には約12,000人のファンが、彼女の登場を今か今かと待っていた。開演時間になり場内の明かりが落ちて、ステージに設置された複数のモニターには、彼女がこれまで発表してきたMVが映された。映像が消えて寸時の沈黙が流れ、場内に興奮と緊張の空気が漂う。そしてステージに白いスポットライトが注がれた。その光の中にいたのは、ラベンダー色のドレスに身を包んだ西野カナだ。マイクを口元に近づけて、第一声“もしあの日の雨が止んでいたら”と「if」で幕を開けた。“君の描く未来に 私はいるのかな”と再会を願うその歌は、今日この瞬間のために作られたと思うほど見事にハマっていた。西野は晴々とした表情を浮かべ、ひと言ひと言のフレーズを噛み締めるように力強く歌った。そして、その声は時折震えているように聴こえた。フロアに上がったたくさんのフリフラ(無線制御型ペンライト)が、満点の星空のように輝いている。“同じ星を 同じ場所で 見つめていようよ”と歌う彼女の目に、この絶景はどう映ったのだろう。歌い終えると「カナやん!」「おかえりー!」という声援に対し「ただいまー!」と声高らかに返した。 ■ハツラツさからドリーミンな雰囲気へと横アリを染めていく 改めて、満員の会場を見渡した西野は腕を高く上げて「すごいね、ありがとう!」とひと言。「みんな元気やった?と聞こうと思ったけど、元気やな!めっちゃうれしいわ、ありがとう! 今日はライブビューイングで会場に来てくれているみんなと、ここに来てくれているみんなと、ひとつになって盛り上がっていきたいと思います」と声を届けた。その後、ミントグリーンのワンピース姿になり、ダンサーと共に「Have a nice day」「Darling」でハツラツさからドリーミンな雰囲気へと横アリを染めていく。ステージが再び暗転し、モニターには西野が「EYES ON YOU」の歌詞を書いている姿や、ダンサーやバンドメンバーとライブのリハーサルをする様子などが映し出された。 映像が終わると、グレーの衣装の西野が姿を見せて「15」で中盤戦がスタート。続いては「もっと...」「Distance」「No.1」とNERDHEADの「BRAVE HEART feat.西野カナ」をメドレーで届けていく。前半がJ-POP然としたポップなナンバーだったのに対し、こちらのセクションではR&B色が強いクールな楽曲が披露された。「たった今、歌った『BRAVE HEART』は2009年にリリースされた曲なんやけど。<中略>自分自身めっちゃ好きな曲で、この曲には何度も背中を押してもらったから、今日はみんなにぜひ聴いてもらいたいなと思って歌いました、へへへ」と屈託のない笑みを見せると、フロアから大きな拍手が起きた。 ■感涙を流す観客を前に、西野も目を光らせながら“すべてを受け止めたいから ここにいるよ”と歌う姿は、歌姫そのものだった 後半戦は「イントゥ・ミー」「MEOW」「FANTASY」「I wanna see you dance」のメドレーから始まった。こちらはバーレスクを想起させるショーのような演出になっており、1曲1曲の短い尺間に青、ベビーピンク、赤の衣装へと早着替えをしながら、エンタテインメント色の強いステージングで魅了した。幕間映像を挟んだ後、青い花が敷き詰められた船に乗って「このままで」を歌い、瑞々しくも壮大な世界を創出した。続いて儚く美しいピアノのイントロが流れると、フロアから地鳴りのような太い歓声が起きた。地面から天井に向かって30個ほどのペーパーランタンが上がっていく甘美な演出の中で「君って」を歌う。この日のハイライトに感じるほど、約12,000人を圧倒するパフォーマンスだった。感涙を流す観客を前に、西野も目を光らせながら“すべてを受け止めたいから ここにいるよ”と歌う姿は、歌姫そのものだった。 ■まるで地元の旧友と話すように、彼女とファンの親密で親愛な関係 ライブが終盤に差し掛かったところで、さらに会場の熱気は高まっていく。「GO FOR IT !!」でトロッコに乗り、場内を回りながら観客の近くへと移動。「LOVE & JOY」では全員でタオルを振り回し、会場の一体感をさらに強固なものにしていった。ステージに戻り「トリセツ」を歌うと横アリは幸福感に満ち溢れた。マイクを握り直し「ねえ、全然関係ない話をしてもいい? 私、車の免許取ったで!」と近況報告。「すごくない!? 18歳のデビュー当時からずーっと毎年『免許取りたい』と言って、やっと取った。しかも…マニュアル!」とドヤ顔で無邪気に自慢する姿が微笑ましい。その後も、休止前から行きたいと公言していたパタゴニア地方のペリト・モレノ氷河へ行った写真を公開。「引きの写真も撮ったから、またインスタにでも載せるわ!」。まるで地元の旧友と話すように、彼女とファンの親密で親愛な関係を垣間見た。 ■「『私にはみんながいる』と思えたら、それだけで『よっしゃ、頑張ろう!』ってなれた」 「活動再開が決まってからは、歌の練習をしたり体力作りをしたりして、クリエイターさん、作曲家さん、デザイナーさんとかいろんな人にも出会ったりしてね。また、楽しく音楽活動を始めてきたんやけど、もちろんバンドメンバーもそうやし、ダンサーのみんなもそうやし、今日なんて100人を超えるすごい数の人がライブに関わってくれててさ。音楽を通して、こうしていろんな人に出会えるのってめっちゃ素敵で幸せなことやなって、今改めて噛み締めているところです」。とはいえ、何もかもがスムーズに進んだわけではない。「たまにはうまいこといかんかったり、うまく歌えへんくて肩を落としたり『ホンマに自分はできるんかな』としょんぼりすることもあったんさ。でも、そういうときにみんなが送ってくれるメッセージとか手紙を読ませてもらって、めっちゃ勇気をもらった。『私にはみんながいる』と思えたら、それだけで『よっしゃ、頑張ろう!』ってなれた。今日ここに立てていること、そして今日みんながいてくれることに、本当に感謝しています」と話し、西野は何度も「ありがとう」と感謝を伝えた。温かいムードで「また君に恋をする」を歌うと、ラストサビできらびやかなピンクシルバーのテープが舞い本編を締め括った。 ■全国アリーナツアー『Fall In Love With You Again Tour 2025』の開催を発表 西野とバンドメンバーがステージを去ると、客席から歌が聴こえた。ひとりまたひとりとその声が重なり「Best Friend」の大合唱が起きた。その歌声に導かれるように、西野が再びステージに姿を見せてアンコール1発目は「EYES ON YOU」を披露。「みんなの歌ってくれた『Best Friend』は(ステージ)裏までバッチリ聴こえていました、ありがとう!」と話すと、全国アリーナツアー『Fall In Love With You Again Tour 2025』の開催を発表。うれしい報告に再び盛り上がる場内を見ながら、改めてこの日のライブを振り返った。「みんなには見えていなかったかもしれんけど、1曲目から涙線崩壊でさ。泣くのを堪えるのに必死やったけど、みんなと一緒に歌ったり騒いだりしていたら、めっちゃ楽しくなっちゃった! じゃあ、じゃあ!さっき大きな声で『Best Friend』を歌ってくれたから、最後はみんなで歌いましょう!」と言って5年9ヵ月ぶりのライブは、こんなフレーズで幕を閉じた。“例えば、離れていても 何年経っても ずっと変わらないでしょ 私たちBest Friend 好きだよ、大好きだよ”。 TEXT BY 真貝聡 『Kana Nishino Love Again Live 2024』 2024年11月13日、14日 横浜アリーナ セットリスト 1.if 2.遠くても feat.WISE 3.Have a nice day 4.Darling 5.15 6.メドレー1 もっと... ~ Distance ~ No.1 ~ BRAVE HEART feat.西野カナ 7.Still love you 8.メドレー2 イントゥ・ミー ~ MEOW ~ FANTASY ~ I wanna see you dance 9.このままで 10.君って 11.GO FOR IT !! 12.LOVE & JOY 13.トリセツ 14.また君に恋をする EN1.EYES ON YOU EN2.Best Friend ライブ情報 「Fall In Love With You Again Tour 2025」 【大阪】 大阪城ホール 2025年4月5日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00 2025年4月6日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00 【福岡】 マリンメッセ福岡A館 2025年4月26日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00 2025年4月27日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00 【東京】 国立代々木競技場 第一体育館 2025年5月10日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00 2025年5月11日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00 【愛知】 Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場) 2025年5月24日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00 2025年5月25日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00 【北海道】 北海きたえーる 2025年5月31日(土) 開場 17:00 / 開演 18:00 2025年6月1日(日) 開場 16:00 / 開演 17:00
THE FIRST TIMES編集部