「白内障」術後の安静期間と注意点を眼科医解説! 術後の見え方や気をつけたい生活トラブルは?
近年では、白内障の日帰り手術が多く行われています。技術の進化などもあり、非常に安全で効果の高い治療とされ、毎年多くの患者が白内障手術を受けていますが、手術後にはどのような経過を辿るのでしょうか? また、注意点はどんなことがあるのでしょうか? 川口眼科の蒲山先生に教えていただきました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
白内障の手術は入院なし・日帰りでも可能?眼内レンズなど濁った水晶体の手術の方法は?
編集部: 白内障はどのようにして治療するのですか? 蒲山先生: 症状の進行状況により異なります。初期は点眼薬での治療を行い、症状が悪化してきた場合には手術を行うのが一般的です。 編集部: 最近、白内障手術を日帰りで行うことが多いと聞きました。 蒲山先生: はい。以前は入院をして手術を行うことが多かったのですが、現在では医療技術の進歩により、日帰りでの手術が多く行われています。 編集部: 具体的に、どのようにして手術を行うのですか? 蒲山先生: 手術は点眼麻酔など局所麻酔によって行われ、麻酔がきいたら目に3mmほどの小さな穴を開け、そこから濁った水晶体を吸い出します。その後、人工レンズを入れて固定します。手術時間は約15分(麻酔などを含めて約30分)です。
白内障の術後の具体的な安静期間は何日間? 見え方の経過と白内障の手術後に多い生活トラブル・注意点を眼科医が解説
編集部: 手術を終えたあとはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか? 蒲山先生: デスクワークや軽労働であれば翌日から可能ですが、あまり目を疲れさせる作業は行わないようにしましょう。力仕事などの作業は術後1週間くらい控えましょう。また、アイメイクや洗顔も術後1週間くらいから可能です。 編集部: 術後はすぐに視力が回復するのですか? 蒲山先生: 多くの症例で手術翌日から視力回復しますが、炎症や傷の回復によって数週間かかる方もいます。また人工レンズの見え方は決して若い頃の見え方に戻るわけではないので、慣れるのに時間がかかる方もいます。 編集部: なるほど。個人差が大きいのですね。 蒲山先生: そうですね。手術後は人工レンズが目の中に入ります。すべての人に共通することとして、人工レンズにはピント調節機能がないため、距離によってよく見える距離とボヤける距離が必ず生じます。 眼鏡を作成するまでは人によって生活の中で見えにくさを感じることはあるでしょう。 編集部: 術後の見え方が気になるという人はとても多いと思います。 蒲山先生: 術後の「見えにくい」原因はいろいろあります。そもそも目にほかの病歴があり視力が出にくい方や術後合併症が生じる方もいます。 そのほかにも、視力は良いのに飛蚊症がクッキリ見える、光の線やレンズの縁のような影が見えるなど、人工レンズ特有の「気になる見え方」が生じます。不安は抱えずにどんどん医師に相談してみましょう。 編集部: 合併症などのリスクはありますか? 蒲山先生: はい、ワクチン後の副反応と同じです。みんなに起こるわけではないですが、どんなに稀であっても手術を受ける方全員がそれを起こすリスクを背負うということです。白内障手術の場合、確率は非常に低いものの以下のような合併症が挙げられます。 ・眼内の大きな出血 ・眼圧の異常 ・角膜の障害 ・黄斑のむくみ ・網膜剥離 ・眼内炎(感染症)など 発生する確率は低いので必要以上に恐れることはありませんが、「自分にももしかしたら起こり得る」ことは頭の片隅においておきましょう。