横浜中華街のシュウマイを食べたことがあるか!【みんなが知らない、シュウマイの実力】
連載【日本シュウマイ協会会長・シュウマイ潤の『みんなが知らない、シュウマイの実力』】第6回 崎陽軒と並び、横浜の象徴といえば中華街。だが、横浜中華街のシュウマイのクオリティーを知る人は少ない......。横浜中華街を代表するシュウマイの老舗店と、昨年行われた『うまい焼売グランプリ』を受賞したシュウマイを話題にあげつつ、中華街のシュウマイの価値をシュウマイ研究家のシュウマイ潤が語ります。 【写真】横浜中華街を代表する老舗料理店のシュウマイ * * * 突然ですが、現時点で私のシュウマイ研究のなかでは、横浜は"日本のシュウマイ"発祥の地と結論づけています。その理由を多くの人は、横浜のソウルフード「崎陽軒のシウマイ」に由来すると想像するかもしれませんが、実は「横浜中華街」のほうが当てはまるのです。 私の拙書『シュウマイの本』では、日本でシュウマイがどのように浸透していったかをまとめていますが、一般的に日本国内で中華料理が根付いたのは開国後の明治期であり、横浜の街が最初であると推測されます。 横浜には開国時に外国人居住区ができ、その周辺には外国人の世話係をした中国人を中心とした生活圏が形成されました。そこは「南京町」と呼ばれ、主に中国人向けの飲食店や雑貨店が並び始めました。それがのちの「横浜中華街」となるわけです。 そのなかで、シュウマイが一般的にいつから日本で作られ、食べられるようになったかは、中国料理関係や横浜地域の資料を総合すると、「南京町」にあった中国人向けの飲食店で提供されたのが始まりと推察できます。ちなみに『シュウマイの本』では、それを「シュウマイ第一世代」と(勝手に)定義しています。 その第一世代のシュウマイを「今日、横浜中華街で食べられるか?」というと、厳密に言えばかなり難しいと思われます。それを最も高い確率で食べられたであろう店舗として、現存する最古の中華料理店として知られた1884年創業の「聘珍楼」がありましたが、コロナ禍で閉店してしまいました。 他にも、その歴史に匹敵する店は現存するものの、そこで提供されていたシュウマイが、創業当初からのものかというと必ずしもそうではないようで、時代とともにアレンジした形で提供されている可能性が高いのが現状です。 ですが、中華街を代表する老舗料理店の中には、創業時からシュウマイの味を守り続けている店も存在します。言い換えれば、限りなく日本のシュウマイ発祥のルーツに近い一品であり、同時に味わいも絶品。そのいくつかをご紹介します。