日銀の「国債買い入れ減額」と「保有残高の減少」を試算する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】
2年後に月4兆円なら残高は5%減、月2兆円なら9%減、市場に配慮した計画なら混乱回避へ
結果は図表1の通りで、2024年8月から2026年7月までの2年間で、日銀の国債保有残高は、(1)はほとんど変わらず、(2)は28.5兆円(4.8%)減、(3)は53.4兆円(8.9%)減、(4)は78.3兆円(13.1%)減、となります。参考までに、2024年8月から月6兆円の買い入れを完全に停止した場合は図表2の通りで、2026年7月までの2年間で、日銀の国債保有残高は、141.6兆円(24.2%)減少することになります。 日銀が必ずしもこの枠組みを採用するとは限りませんが、将来の国債償還額が分かっているため、買い入れの減額は「予見可能な形」で「すみやかに行う」ことができます。「相応の規模」は、市場参加者の意見を踏まえ、日銀が判断することになりますが、植田総裁は先月、「国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保」すると述べており、日銀の減額計画発表で、市場が動揺する恐れは小さいとみています。 (2024年7月9日) ※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日銀の「国債買い入れ減額」と「保有残高の減少」を試算する【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフマーケットストラテジスト】)。 市川 雅浩 三井住友DSアセットマネジメント株式会社 チーフマーケットストラテジスト
市川 雅浩,三井住友DSアセットマネジメント株式会社
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