日銀、早ければ今月会合で国債購入減額を具体的に検討も-関係者
(ブルームバーグ): 日本銀行は早ければ来週に開く金融政策決定会合で、長期国債の買い入れの減額についてより具体的な方針を示すことの是非を含めて議論する可能性が大きい。複数の関係者への取材で分かった。
関係者によると、13、14日の会合では月間6兆円程度の買い入れを継続するとしている現在の長期国債の買い入れについて、減額が適切な市場環境かどうかを慎重に見極める。新たな方針の下で購入を縮小する場合でも、市場の大きな変動を回避する観点から、緩やかで段階的な減額の方向性が示される公算が大きい。
日銀では国債買い入れを経済・物価に能動的に働き掛ける手段とは位置付けておらず、市場の無用な臆測を避けるためにも、市場動向などを会合直前まで見極めた上で新たな方針を示すことが適切かを判断するという。
物価上昇圧力の継続や外国為替市場での円安傾向を背景に、市場では早期の追加利上げや国債買い入れの減額に対する思惑が強まっており、長期金利(10年物国債金利)は5月30日に一時1.1%と約13年ぶりの高水準を付けた。市場には、長期金利上昇の一因に日銀の国債買い入れの先行き不確実性を指摘する声もあり、日銀の対応に注目が集まっている。
日銀の長期国債保有額が600兆円に迫り、国内総生産(GDP)を上回る規模となる中で、先行きの買い入れペースやバランスシートの規模などについて、どこまで予見性が高いものを示せるかは不透明だ。
金利急騰時はオペで抑制
関係者によると、日銀は減額によって金利形成を一段と市場に委ねていきたい意向だ。ただ、減額ペースは米連邦準備制度理事会(FRB)のような厳格なものにはならないとみられ、長期金利が急激に上昇する場合には機動的なオペ運営で抑制する方針は維持される可能性が大きいという。
過去にイールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)の下で指し値オペや臨時の国債買い入れオペなどで買い入れ額が急増した局面があり、先行きの償還額も一定ではない。このため、関係者によると、金額は保有国債の残高ではなく、引き続き月間単位などの買い入れ額で示した方が分かりやすいとの意見がある。例えば月間5兆円などが次の買い入れの目安として考慮される可能性がありそうだ。