上海株、中国景気への懸念から下落 ~アジア・マーケット動向の振り返り【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、中国を中心に2024年6月のアジア・マーケットを振り返ります。
アジア:マーケット動向
⇒【株式】まちまち、【通貨】まちまち、【債券】まちまち 【株式市場】 ◆台湾やインドなどが上昇、タイや香港などが下落 台湾は米アップルが人工知能(AI)スマートフォンを発表したことや、半導体受託生産大手企業の堅調な受注見通しが好感され上昇。インドはモディ首相が3期目も続投となり、新たな連立政権においてもインフラ投資などが牽引し経済成長が継続するとの見方が強まったほか、韓国では高性能メモリーの需要拡大期待から大手半導体メーカー中心に株価が上昇。一方、タイは2023年の下院総選挙で最多議席数を獲得した前進党が解党を命じられる可能性が高いと報じられるなど国内政治の不透明感が高まり、中国は、消費者物価指数(CPI)が市場の事前予想を下回り、デフレ懸念が高まったことから軟調。ベトナムは、海外投資家からの売り圧力が強まった。 【通貨(対米ドル)】 ◆まちまち 米ドルが6月に上昇したものの、アジア通貨はまちまちの展開となった。半導体輸出額の上振れを反映して貿易黒字が拡大した韓国ウォンが対米ドルで最も上昇した。一方、財政規律の緩みをプラボウォ次期大統領が示唆したことなどでインドネシアルピアが最も下落した。 【債券(国債)市場】 ◆まちまち 国債利回りは欧米金利に連動し、韓国、シンガポール等で低下した。一方で政策金利が据え置かれた国・地域のうち、台湾では不動産価格の上昇抑制に向け銀行の預金準備率引き上げが実施され、またインドネシアでは財政赤字拡大懸念もあり、金利上昇の動きとなった。 <※参照:各国の株価指数の名称> ●中国:上海/深圳CSI300指数、●香港:ハンセン指数、●韓国:韓国総合株価指数、●台湾:台湾加権指数、●インドネシア:ジャカルタ総合指数、●マレーシア:クアラルンプール総合指数、●タイ:SET指数、●ベトナム:ベトナムVN指数、●シンガポール:シンガポールST指数、●フィリピン:フィリピン総合指数、●インド:SENSEX指数、●オーストラリア:ASX200指数
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