「週3日働いて年収2000万」というオジサンの“ニッチな”仕事 「元手ゼロ」で楽なビジネスを軌道に乗せたワケは?
そう考えたとき、オジサンの「大通りに面した大きなビルの看板広告はそれ相応の広告費ですし、そこに広告出せる企業に繋げるのは、それなりの規模の広告代理店になりますよ。 でも、よく見ると小さいビルで看板広告出せるところはまだまだたくさんありますし、そういうところは広告費が安すぎて大手は手を出さない」という発言は、「ニッチ探し」をする際にすごく重要な示唆を与えてくれます。 ■「ニッチ」は「差別化」ではない
オジサンがやっていることは、普通の看板広告ビジネスであり、それ以上でもそれ以下でもありません。ただ違うことは、大企業にとっては収益面で「旨味が少ない=家賃が安い」場所を狙って広告を出しているだけです。 大企業が手を出す意味のない「ニッチ」ですが、オジサンが自分と家族が生活するには十分に旨味のある仕事が、飲み屋街の中にはたくさんあったわけです。 そう考えると、起業を目指して具体的に事業計画の作成に取り掛かった際に、必ず頭を悩ませる「ニッチ」という言葉には、全く別の側面があったことに気づくはずです。
私たちは、「ニッチ」を取るために、既存の大企業とは異なる新しい価値を提供しなければならないという、変な思い込みに囚われてしまっているのではないでしょうか? 本来ニッチ(niche)というのは、隙間という意味です。市場の中で自分が生きていくための隙間を探すのと、他の企業との競争に打ち勝つための価値を求めることは、根本的に次元が違う話です。 私たちはいつのまにか、「ニッチ」という言葉に「差別化」を混在させてしまったことで、「大企業にも打ち勝てるベンチャー企業をどう作るのか?」と頭を悩ませてしまい、本当はシンプルに「そこそこ起業」できる機会を逃してしまっているのではないでしょうか?
大きな売上が見込めるところは、大企業に食わせれば良い。大企業が食べ残したところを、自分が生活するための場所にすればいい。 そうすれば、ビジネスモデル的には既存企業の模倣であっても、生活するには十分な収入が得られるビジネスは簡単に作れてしまう。 オジサンがいい感じで酔っ払った頃を見計らって、「ビジネスのタネ明かしをして、競争相手が増えたらどうするのですか?」と尋ねてみました。 すると答えは、 「ビルはまだまだたくさんあるし、今の状態を維持するだけなら、私が死ぬまではどうにでもなりますよ」