「手柄は自分のもの」「失敗は人のせい」タイプの上司が必ず失敗する理由
成功者は謙虚
桃野氏が理想的なリーダー像として挙げているのが、アメリカの鉄鋼王にして大富豪のアンドリュー・カーネギーや日清戦争時に日本陸軍の少将だった児玉源太郎だ。 「一代で財をなしたカーネギーですが、自伝には自慢めいた話は一切ありません。他者への感謝が延々と語られるのです。彼が自分の死後、墓碑に刻んでほしいと周囲に語っていた言葉があります。 “己より優秀な人間の協力を得る術を心得し者、ここに眠る” (原文は、“Here lies a man who knew how to enlist in his service better men than himself” カーネギーホール公式サイトより)
児玉は日清戦争の時に、中国大陸から戻る帰還兵の検疫責任者を任された人物です。この時、現場責任者の後藤新平に対して、『苦情は全て、俺が受け止める。責任も全て、俺が取る』と言い、『やるべきことを徹底的にやれ』と命じました。 そしてプロジェクトが終わった日に、児玉は後藤に対して、 『これはお前の勲章だ。誇りに思え』 と告げたのです。実際には当時、後藤のやり方に対して多くの批判が寄せられていたのですが、それをすべて児玉が受け止めて、後藤を守り続けていたのです」 身近な上司はもちろん、自民党の幹部らにこれを求めるのはあまりに青臭い話だろうか。 第74代総理大臣、竹下登氏は繰り返し、「汗は自分でかきましょう。手柄は人に渡しましょう」と口にしていたというが――。
デイリー新潮編集部
新潮社