韓国政府、経済政策発表も先送り…代行の代行が駆け回るほど空白広がる経済指令塔
大統領代行を務める崔相穆(チェ・サンモク)副首相兼企画財政部長官が務安(ムアン)空港でのチェジュ航空機事故収拾に東奔西走して「経済指令塔」の空席が大きくなっている。経済チーム内で「代行の代行」を出してどうにか空白を埋めているが、為替相場や内需など拡大していく経済不確実性をコントロールするのには力不足という懸念が出ている。 30日に開かれたマクロ経済金融懸案懇談会、別名「F4(Finance4)」会議を主宰したのは韓国銀行の李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁だった。座長である崔代行は旅客機事故対応で参加できなかった。代わりに企画財政部の金範錫(キム・ボムソク)第1次官が参加した。 F4会議は企画財政部、韓国銀行、金融委員会、金融監督院のトップ4人が集まって懸案を話し合う席だ。対ドルでウォン相場が1500ウォン水準を突破しかねないという警告が相次ぎ、外国人投資家の離脱が加速化する状況で経済チームを率いなければならないトップの1席が事実上空いている形だ。企画財政部関係者は「副首相の最も大きな業務なのに経済不確実性がもっと大きくなりそうで懸念される」と話した。 今後主要経済政策責任者も「崔代行の代行体制」に転換されるものとみられる。2週間ごとに開かれる経済関係閣僚会議と産業競争力強化関係閣僚会議などが代表的だ。企画財政部関係者は「状況を見守らなければならない」としながらも、「これまでは副首相が取りまとめてきたが、これからは余力があるかわからない」と話した。内部では金範錫第1次官とキム・ユンサン第2次官を中心に運営される可能性が高いと予想している。 企画財政部次官が引き受けなければならない業務は再び室長に移っている。例えば企画財政部は29日から務安事故対応・支援タスクフォースチームを稼動したが、タスクフォースのチーム長はキム・ドンイル予算室長が務めることになった。2020年のコロナ禍でマスクの品薄が起きた時や2021年の尿素水大乱があった時に作られたタスクフォースではいずれも企画財政部第1次官がチーム長を務めた。企画財政部関係者は「予算室長がタスクフォースのチーム長を務めみんな首をひねっている。第1・第2次官ともに崔代行の空席を埋めているのにタスクフォースまで管理するのは難しかっただろう」と話す。 こうした状況のため経済チーム本来の業務は後回しにされている。当初この日予定されていた「2025年経済政策方向」の発表も先送りされた。企画財政部は毎年末に翌年の経済成長率と物価上昇率をはじめとした総合経済政策を発表する。非常戒厳事態の余波でまともに経済政策方向性が出せるのかという指摘に加え、務安での旅客機事故で発表時期まで突然順延されたのだ。 韓国投資証券のキム・デジュン研究員は報告書で「奇しくも2025年経済政策方向も順延され政府計画がわからなくなった。各種経済指標が下方修正される中で明確な政策モメンタムがない点は韓国証券市場の魅力度を低くする要因」と指摘した。 淑明(スンミョン)女子大学経済学科のカン・インス教授は経済チームの過負荷も問題だが政策実行力が顕著に落ちた点が懸念されると話した。カン教授は「公務員たちが日常的にルーチンでする業務は担当者が変わったとしても大きく問題にならないだろう。それよりは変化・革新が必要な主要政策が6カ月後の責任所在問題のため履行がうまくいかず懸案に対する対応力が落ちる恐れがある」と話した。