日本人の善意で成り立つ「鉄道忘れ物市」の仕組み
各地の百貨店などで開催されている「鉄道忘れ物市」。垂れ幕やポスターを見て、気になったことがある人も多いのではないだろうか。 国内で「忘れ物市」を専門としている業者は2社。うち現在さいか屋藤沢店で「鉄道忘れ物市」を開催中のピーエックス(埼玉県深谷市)代表・与儀実良さんに、商品の仕入れから値付け、販売までの仕組みを聞いた。
分類ごとに大量の物品を入札
今回販売している商品は、東京都内の公的機関やJRから入札した約4万点(4トントラック2台分)。傘、貴金属、洋服、雑品などの項目に分けて入札が行われる。 東京都では年間約300万件の忘れ物が警視庁に届き、そのうち80パーセントが持ち主に返還される。10パーセントは拾った人に譲渡され、払い下げになるのは残りの10パーセント。「雑品」などは、段ボール箱に入れられてまとめて売り払われるため、大まかに何が入っているかは見ることができても、一点一点確認はできないまま「この季節にはこういう物があるだろう」と予想しながら入札するのだという。遺失物の警察での保管期間は3カ月のため、およそ4カ月前を想像するそうだ。売り上げは税金となる。
8月下旬に入札した遺失物は、9月頭に受け取り、約300坪ある同社の倉庫に保管。数カ月をかけて、分類や鑑定を行う。傘の忘れ物は一年中多く、すでに在庫が2万本あるが、今回の入札ではやはり特に多かったという。
一番旬な商品は「iQOS」
会場には傘だけでなく、時計、サングラス、アクセサリー、財布、バッグ、靴、双眼鏡、工具、本、ぬいぐるみ、野球のグローブなどが山積みになっている。値段は100円~1万円以上するものまでさまざま。時計、サングラス、万年筆、アクセサリー、化粧品などの中でも高額商品はガラスケースにディスプレーする。トレーディングカードは100円、ペンは300円で詰め放題だ。
今一番旬な商品は「iQOS」。予約してから3~4カ月待つことも多く、ネットでは1万2,000円前後で販売されているが、8,000円で販売したところ、すぐに売り切れたという。 入荷が減ってきているのが、三陽商会とのライセンス契約が昨年春夏シーズンで切れたバーバリーの商品。ネットで8,000円~9,000円程度で取引されている傘を、4,000円で販売している。