AED使用解禁20年 熊本市の使用率8%、広がらない要因は?
さらに、熊本大学病院救急部の入江弘基教授は「一般の人にとって使用のハードルは高い」と指摘する。生死に関わる場面で、ショックボタンを押すのをためらう人も少なくないという。傷病者が女性だと、服を脱がせることへの抵抗感から対応が遅れることもある。 ■初動対応が重要 県内では日本赤十字社熊本県支部や各消防署がAEDの使い方を指導する講習会を開いているが、受講者は教員やライフセーバーといった職業柄必要な人にとどまっている。一般市民には浸透していない。 救急車の出動は、要請から到着までに要する時間は平均約9分。生存率は心停止から1分ごとに10%低下するとされ、入江教授は「居合わせた人の初動対応がより重要になる」と強調。「操作は簡単なので、ためらわずに使ってほしい」と呼びかける。 財団は22年9月、AEDの設置場所の確認や応急処置の方法を学べるスマートフォンアプリ「救命サポーター team ASUKA」の提供を開始した。財団は「すべての人にAEDを身近に感じてもらい、いざという時にすぐ行動できるようにしてほしい」としている。(米本充宏)