デビュー30年を迎える三宅健が“アイドルとして”の覚悟を語る「移籍後、ソロ活動を決めたとき…」
ボーダーを超えられるのが、アイドルの特性
今やアイドルは、歌やダンスのみならず、お芝居、バラエティなどさまざまなフィールドで活躍するマルチな存在となっている。 「ボーダーを超えられるのが、アイドルの特性だと思っています。そのボーダーというのは、歌やダンスに限らないさまざまなジャンルの仕事をするということだけでなく、たとえば国境や文化の壁を越えるとか、そういうもっともっと広い意味で。それはある意味、透明性とも言えると思うんですよね。何色にも染まれるというか」 しかしその一方で、アイドルというと、いまだ世間的に未完成な印象を持つ人も少なくない。それゆえ“アーティスト”という呼称が使われることも。「あくまでもこれは僕の意見だけれど……」と話し出す。 「アーティストって、僕はゼロからものを作る人のことだと思っているんですよね。僕は、プロデュースはしているけれど、作詞作曲はしていなくて、楽曲を提供してもらっている側。でもそこにネガティブな気持ちはなくて、自分がアーティストさんとコラボレーションして作ってもらった楽曲を、どういう形で表現してアウトプットしていくかは僕自身に委ねられているわけです。そこで何かに染まることで、また新たなものになれる可能性がいくらでもあって、つまりジャンルレスなんですよね。その自由度の高さが、アイドルの面白さかなって」 その言葉には、ゼロからものを生み出すアーティストへの深いリスペクトも込められている。 「ゼロから何かを生み出すって、並大抵のことじゃないと思うんです。自分の身近には、そういう仕事をしているクリエイターがたくさんいて、生み出すことの苦しみを知っているからこそ軽く扱いたくないし、そこに対する敬意は払いたいです」
多彩なアーティストたちとの化学反応を楽しむ
今回、三宅さんは、新天地に活動の場を移して初のアルバムをリリース。タイトルに冠したのが『THE iDOL』。ジャマイカとハワイアンにレゲエの要素を加えたジャワイアンレゲエという新しいジャンルを確立したMicroさんのような大ベテランのほか、ソウルやR&Bとヒップホップとを融合させた洗練された楽曲で注目を浴びるSIRUP、YouTubeやTikTokで話題を呼び今注目を集めるWurtSや、ポップさとシュールさの入り混じった独自の世界観が話題の現役大学生シンガーソングライター・ミヤケ武器のような新進気鋭まで、ジャンルもキャリアも出自も違う多彩なアーティストたちが楽曲提供として参加。まさに言葉通りの多彩で豪華な一枚となっている。 「それぞれの方々とかなり密にコミュニケーションをとって、こんな楽曲にしてほしいというオーダーは結構細かく伝えさせていただきました。そのうえで、そのオーダー通りのものというわけではなく、アーティストの皆さんそれぞれが僕が提示したレファレンスよりもさらに素晴らしいものを作ってくださったと思っています」