【漫画家に聞く】問題児の「壁の落書き」、エスカレートしたらどうなる? アクロバティックすぎるギャグ漫画に注目
子どもの独創的なイタズラは大人を困らせるが、微笑ましくもある。SNSで公開された漫画「壁に落描きする問題児。」は、先生と問題児の対話がコミカルなギャグ作品だ。 アクロバティックすぎるギャグ漫画『大門寺と問題児』(壁に落描きする問題児) 本作は現在「最強ジャンプ」で連載中の『大門寺と問題児』の第4話。「壁の落書き」をテーマにしたアクロバティックなボケ、先生のシュールな指導はどのように生みだされたのか、作者・佐世保太郎さん(@sasebotaro)に聞いた。(小池直也) ――お名前は佐世保さんでよろしいですか? 佐世保太郎(以下、佐世):佐世・保太郎なんですよ。よく間違われるんですよね……。自分でも確かにわかりづらいと思うのですが、でも、これを放任している集英社が悪い(笑)。 ――なるほど(笑)。本作のSNS上での反響はいかがですか。 佐世:単行本3巻の発売に合わせて投稿したのですが、たくさんの方に楽しんでもらえているようでした。毎日ポストしているのですが、コンスタントに1000いいね以上は付けてもらえています。 ――『大門寺と問題児』を連載されるきっかけについて教えてください。 佐世:キャラクターデザインがあまり得意ではないので、「とにかくギャグを描こう」という意識でしたね。そこでまず「先生と問題児」というシチュエーションが浮かびました。その枠のなかでツッコミ役としての大門寺、ボケ役のまひるというように、自分の好きな笑いに合う人物として考えています。 ――キャラクターにはモデルがいたり? 佐世:特にはないですね。強いて言えば、大門寺が僕っぽいかもしれません。僕の子ども時代は極めて暗い性格だったと思います。今も昔も目立つのは好きではないので、まひるはよくやるな……と。描いていたら不思議なことに「まひるはこういう行動はしないだろうな」という意識が出てきましたね(笑)。 作画に関しては大門寺はドライに、まひるは可愛く見えるように意識しています。絵はあまり上手くないので、そこで勝負するタイプではないかな。やっぱりデビューから描き続けているギャグで見せられたらと。 ――「壁に落描きする問題児。」は第4話で、ナポレオンやモナリザなどヨーロッパのモチーフがたくさん出てくるところも特徴です。 佐世:「壁の落書き」という現実にあるイタズラをテーマに、大喜利でギャグをどんどん出していく形で考えました。登場する絵の統一感については偶然です(笑)。ナポレオン風の自画像はネットで調べて頑張って模写しました。 ――インスピレーションをもらうものは? 佐世:漫画に活かせているかはわかりませんが、昔からプログレは好きですね。最初に好きになったバンドはYesで、アンダーソン・ブルーフォード・ウェイクマン・ハウとかも大好きでした。 日本のアーティストはあまり詳しくありませんが、KENSOとか。普通にMr.Childrenや松任谷由実さんも好きです。あとはラジオですね。伊集院光さんの番組はよく聞いてました。 ――影響を受けた作家や作品があれば教えてください。 佐世:佐々木倫子先生の『動物のお医者さん』。母親の趣味だったのか、実家に置いてあってよく読みました。ギャグを描き始めた時に影響を受けたのは、カレー沢薫先生の『クレムリン』ですね。あとは漫☆画太郎先生は、作品どうこうよりも本人の「人を笑わせるパワー」にはリスペクトしかありません。僕の作家名も彼を意識して付けたところがあります。 ――今後『大門寺と問題児』はどう描いていきますか。 佐世:毎回毎回苦労しながらネームを作っているので、まずは目の前の原稿を描いていくのみですね。
小池直也