富士化学工業(富山県上市町)、注射剤が静脈奇形に適応 国内初の承認
富士化学工業(富山県上市町横法音寺、西田洋社長)は7日、製造販売する食道静脈瘤(りゅう)硬化療法・胃静脈瘤退縮剤「オルダミン注射用1グラム」の適応症として、「静脈奇形の硬化退縮」が厚生労働省から追加承認されたと発表した。静脈奇形は静脈の異常で体にこぶができる先天性の病気で、硬化療法剤の承認は国内で初めて。 静脈奇形は全身のあらゆる部位に発生し、痛みを伴ったり、歩きにくくなったりと、生活に支障が出る場合もある。患者は国内に約2万人おり、うち1万人は手術による切除が難しいとされる。 オルダミン注射用1グラムは1991年、肝硬変の合併症として知られる食道静脈瘤の硬化療法剤として、国内で初めて承認され、2017年に胃静脈瘤への適応が追加承認された。静脈奇形への適応追加に向け、21年から臨床試験を始めた。 硬化療法は、注射で血管を固めることでこぶを小さくする。試験で基準となる投与後の奇形の縮小率20%以上をクリアし、発売元のあすか製薬(東京)の協力を得て24年2月に承認を申請した。
数カ月から1年程度を要する飲み薬による治療に比べ、基本的に一度で早期に効果が出ることから、有効な治療の選択肢の一つになることが期待される。同社は「子どもから大人まで、幅広い患者の生活の質向上につながればうれしい」としている。薬価は1本1万5313円。