米大統領選:デマによる妨害の中、投票は続く
米大統領選の投票が各地で進む中、選挙管理当局や公民権団体は投票所で発生している問題について、今のところごく小規模だと述べた。一方、連邦当局は依然として、民主主義制度への信頼を傷つけようとする偽情報工作の危険性について警告している。 Donald Trump前大統領は選挙に不正があるという根拠のない主張を続けており、米国時間11月5日の午後には「Truth Social」に、「フィラデルフィアで大規模な不正行為が行われているという話が多数ある。警察が向かっている」と投稿した。フィラデルフィア警察は米CNNに対し、Trump氏が何を指しているのかは不明だと語った。 非営利団体Lawyers' Committee for Civil Rights Under Law(法の下の公民権のための弁護士委員会)の会長兼執行役員であるDamon Hewitt氏は記者会見で、複数の小規模な単独の事件はあったものの、米有権者の大多数は問題なく投票していると述べた。 Hewitt氏は、投票の妨害を狙った偽情報や訴訟があることを踏まえ、このことは「注目に値する」と述べた。 一部では機器の故障や想定外の長蛇の列などが発生したが、ほとんどの問題は局所的なもので、地域レベルで容易に処理された。 早朝、信憑性のない爆破予告が数件あり、ジョージア州の2カ所の投票所が一時閉鎖された。米連邦捜査局(FBI)は同日に声明を発表し、複数の州で爆破予告があったが、どれも信憑性はないと判断したと述べた。その多くはロシアの電子メールドメインから発信されたとみられるという。 Hewitt氏は、ジョージア州の有権者は投票所での安全を確保されており、脅迫によって人々が投票をやめることはなく、投票にかかる時間が延びたにすぎないと強調した。 午後に行われた別の電話会見では米サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)が、全体的にほとんどの投票所で投票が円滑に進んでいるとして、連邦当局は国家レベルでの混乱は把握していないと語った。 CISAは一方で、米国にとっての敵対勢力、特にロシアや、同国ほどではないがイランが5日および選挙後の数日間、民主主義のプロセスを弱体化させようと偽情報工作を強化することを懸念している。 4日夜、CISAのJen Easterly長官は記者団との電話会見で、民主主義の弱体化を狙った「大量の偽情報」が米国人に対して発信されていると述べ、州や地方の当局者など信頼できる情報源から選挙の情報を入手することが極めて重要だと指摘した。 また、Trump氏やその支持者でソーシャルメディア「X」の所有者であるElon Musk氏など、権力や影響力を持つ立場にある人が選挙に関する誤情報を広めることは「非常に残念かつ無責任な行為」だと述べた。 「これは、われわれの民主主義を侵害し、外国の敵対者に手を貸し、両党の選挙担当者に極めて現実的な脅威をもたらすものだ」(同氏) この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。