〝当たったら痛い変化球〟を追い求める巨人・菅野智之を直撃。〝併殺スラット〟を「あえて真ん中低めに投げる理由」とは?【後編】
お股 あと、僕が大好きなのは菅野投手の〝併殺スラット〟なんです。適度に打球が速いショートゴロやセカンドゴロになるような、ややアウトコースへのカットボールやスライダーを投げるのが抜群に上手い。あれは狙ってやっていますよね? 菅野 狙っていますね。そういう時はあえて真ん中低めに投げます。打者にとって、真ん中低めのボールは打球の方向を出すのが一番難しいんですよ。逆にコースに投げ込むと、ライト前やレフト前に運ばれることもあります。 お股 真ん中低めだと、引っ張るのも流すのも難しくなるわけですね。 菅野 データでも証明されているんですよね。ソフトバンクの近藤(健介)ってバットコントロールがものすごくいいですけど、真ん中低めの打率が一番悪いんですよ。丸(佳浩)もホームランを39本打ったカープ時代の2018年、真ん中低めだけホームランが少なかったんです。 アウトコースならバットをコンと出してレフト方向へ、インコースなら引っ張ってライト方向へ、という意識で打席に入っているから、真ん中低めが一番ショートゴロ、セカンドゴロになりやすいんですよね。 お股 なるほど。 菅野 僕はかなり早めのクイックで投げることを意識しています。 お股 相手バッターが慌ててバットを出して内野ゴロ、というシーンばかり見ている記憶があります(笑)。スライダーだけでなく、個人的にはフォークも真ん中低めがやはり有効なのかなと思うんですが、いかがでしょうか? 菅野 人によっては、たとえば(山本)由伸くんとかは真っすぐに近い落ちるフォークなので効くと思いますね。僕のフォークはどっちかというとそういう回転じゃないので。 お股 ジャイロフォーク気味ですよね。 菅野 そうなんです。ちょっと変化の予測がつきづらくて、コントロールしにくいボールなんですよ。カットボールは回転軸を下に向けちゃえば斜め下に落ちるので扱いやすいんですけど。変化としては、おそらく横から見たらフォークに近いと思います。 お股 球速も似ていますからね。 菅野 はい。なので、無理にコントロールしづらいフォークよりも、安定感のあるカットボールを投げることが多いですね。