若葉竜也「連続ドラマは向いていないと思っていた」嘘を嫌う俳優の信念と“意外と普通”な一面【ドラマ『アンメット』出演】
――その強い信念が日常生活に反映されている部分もあると思います。例えばファッションに関しては、どんなこだわりがありますか? 若葉 もう30代半ばなので、好きなものを好きなように着て「これが俺だぜ」みたいな演出をしたい願望はありません。そこで自己主張するよりも、余計な情報を削ぎ落とした服で人前に立っているほうがシンプルでいいですよね。そういう意味でも、黒を選ぶことが多いですね。普段は動きやすさを重視しますが、今日みたいな取材の日は普通に襟付きのシャツを着ますし。普通ですよ。 ――心血を注いで作品に向き合っているなかで、オフの日はどんな方法でリフレッシュすることが多いですか? 若葉 こういう質問、他の俳優はどうやって答えているんですか? ――やっぱり王道の回答は「サウナやジムで汗を流す」だと思います。 若葉 (笑)胸を張って言えるようなことはしていないですね。ソファーでゴロゴロしながらYouTubeでゲーム実況の動画を見て、気づいたら22時になっていた……みたいな感じで。一人暮らしですが5人がけのソファを使っているので、立ち上がる気力が湧かないくらい快適なんですよ。
「『意外によく笑うよね』と言われます」
――先ほどご自身のことを「普通ですよ」と評していましたが、初対面の人から「意外だね」と言われる部分はありますか? 若葉 「意外によく笑うよね」って言われます。何でもかんでも斜に構えてムスッとしているタイプではありません。見た目や喋り方の印象で「尖っている」と思われがちですが、敵を作りたいわけじゃないし。本当に普通の人間だと思います。
――メールやLINE も普通に返信してくれますか? 若葉 たぶん僕、連絡無精に見えますよね。そこは、本当にその通りです(笑)。マネージャーから頻繁に連絡が入るのですが、素早く返信した記憶がほぼないです。返事も「はい」の二文字が多いですね。 長い付き合いなので、甘えちゃってる部分があるのかも。たまに用事があって僕のほうからマネージャーに電話をするとすごく焦っています。 ――マイペースを崩さないスタンスは恋愛でも同じだったりするのでしょうか? 若葉 マメに連絡する感じではないかな。回りくどいアプローチもしないし、ストレートに好意を示すタイプだと思います。ただ、駆け引きができないからこそ、どうやら相手の気持ちに鈍感なところがあるみたいで、乙女心を汲み取れなくて怒られた経験が何度もあります。それで落ち込んだり悩むこともありますし、本当に、ごく普通です。 ――若葉さんが演じる脳外科医の三瓶友治は、診断能力も手術の腕も超一流ながら、 陰気な上に態度は不遜で超マイペースという特徴があります。若葉さんは彼の魅力をどのように捉えていますか? 若葉 勧善懲悪を徹底する分かりやすいヒーローではないですよね。いつも疲れているように見えるのが、僕自身との共通点だと思います(笑)。もちろん僕の中では彼の魅力的な部分が見えていますが、それを言語化して提示するのは避けたいですね。 視聴者の方々の視野を狭めてしまう可能性もあるので。三瓶に限らず、作品全体を通して自由な観点で「あ、ここいいな」って思うところを探していただけたら嬉しいです。 役者がよく言う「役作り」とかもやったことないですよ。現場で感じたことに素直に反応するだけです。むしろキャラクター化してこんな役だからこんな表現をしよう!って感覚すら邪魔ですね。ただ、外科医なので手術のシーンもあり、そこに向けてクランクインの前から主演の杉咲花さんと一緒に縫合の練習をしています。 数ヶ月の努力でサマになるわけではないですが、医療従事者の方々が見ても違和感がないように、最大限の注意を払いながら撮影に挑みたいと思っています。
PROFILE
1989年6月10日生まれ。東京都出身。2016年、映画『葛城事件』で第8回 TAMA映画賞・最優秀新進男優賞を受賞。映画『愛がなんだ』や『街の上で』などでさらに評価を高め、2024年主演映画「ペナルティループ」が公開中。