〈Osteria Comacina〉/ 鎌倉

業界人が都内からわざわざ訪れることもあるという鎌倉のイタリア料理店〈Osteria Comacina（オステリア コマチーナ）〉。鎌倉在住のエディターに多くの人を惹きつけるお店の魅力を教えてもらいました。

〈教えてくれた人〉

赤澤かおり：エディター あかざわ・かおり／鎌倉在住歴29年。主に食に関する分野で活躍中。『鎌倉 のんで、たべる。』（朝日新聞出版）など鎌倉に関連する著作も多数。近著に『人生にはいつも料理本があった』（筑摩書房）

食材の一番おいしいタイミングを教えてくれる店

桃とフェタチーズのサラダ（1,780円）と定番のポテトフライ（880円）はよくオーダー。パスタは「生ハムとチコリのスパゲッティ」（1,880円）などがお気に入り。

おいしいレシピを生み出すのみならず、食材の究極のタイミングを知っているかどうかで、料理はとんでもない方向から思いもよらなかった味わいを発揮し、旨みを打ち出してくることがあります。それを身をもって知ったのが、このお店のオーナーシェフ、亀井良真りょうまさんの料理をいただいてから。2009年のことです。その頃から、亀井シェフの料理に向き合う姿勢は今とまったく変わっていません。とっておきの食材を惜しげもなく使うのは、極限までそぎ落とし、考え抜かれたレシピだから。つまりはその食材の一番いいタイミングで、調理はごくシンプルに手を加える程度にとどめ、素材自体の味わいを楽しんでもらいたいということからだと言います。このシンプルな味わいは、まさにシェフの手の加減。食材の香り、感触、すべてを感じとってのことなのだということが、この店に通ううちにわかるようになりました。 予約をするときは最低金額の規定がありますが、それは写真を撮るためにパスタを1品だけ、という食事の仕方ではなく、「卓を囲み、食事をする」おいしさを分かち合う時間をもっととことん楽しんでほしいという作り手の思いから。ゆっくり飲んで、食べて会話する時間は、何にも代えがたいもの。幼い頃のシェフは、お母様の作る料理と家族で囲んできた食卓からそう教わってきたと言います。 だから、彼の料理は至極シンプルだけれど、どこかあったかい感じがするのかもしれません。

昼も夜も営業のため予約の電話に対応できないことも。

予約のルールや詳細はwebで確認を。 〈Osteria Comacina（オステリア コマチーナ）〉 住所：神奈川県鎌倉市小町2-6-12 KUSUNOKI443 1F TEL：070-8968-5768 営業時間：11:30～15:00、18:00～20:00 定休日：火休 席数：25席（テラス20席）