芦田愛菜さん「本をたくさん読んで、お芝居の中で放つ言葉にも深みを与えられるような、そんな人でいられるように」
俳優の芦田愛菜さんが、第5回野間出版文化賞を受賞し、贈呈式にて登壇。同賞は「書籍・雑誌などの従来の出版の枠にとらわれず、出版にまつわるすぐれた表現活動を行った個人・団体などを顕彰すること」を目的としています。第5回となる今回は、芦田愛菜さん、黒柳徹子さん、藤井聡太さんが受賞しました(特別賞にTBSプロデューサーの福澤克雄さん)。芦田さんは小さいころから大好きだった本への想いと、俳優として演じることとのつながりについて語りました。スピーチの全文を掲載し、芦田さんの“読書愛”を『婦人公論』の過去の記事からご紹介します。(撮影◎本社 奥西義和) 【写真】あの世界配信の番組の監督も… * * * * * * * ◆芦田愛菜さんの受賞スピーチ【全文掲載】 「芦田愛菜です。このたびは本当に素晴らしい賞をいただくことができて大変光栄に思っております。ありがとうございます。 私にとって本というのは物心ついた頃からいつも隣にあって、私の世界を広げてくれる存在です。本を開けば自分の人生とは違う人生だったり世界だったりが広がっていて、それを感じられるのが本当にすごく楽しくて、いつも時間を忘れて読みふけってしまいます。 役者として、自分が大好きな物語の世界を、読書を通して楽しむだけじゃなくて、自分の体でそれを体験して、そしてその言葉を誰かに伝えることができるっていうのは、本当に幸せなことなんだなぁといつも思っています。 登場人物たちのさまざまな経験というのは、自分の中にまるで自分の経験のように積み重なって私の土台となって、私自身を深めてくれている。そんな気がしているので、これからもたくさん本を読んで、自分の感性を磨いて、お芝居の中で放つ言葉にも深みを与えられるような、そんな人でいられるように日々努めてまいります。 このたびは本当にありがとうございました」
◆14歳、15歳のときから「本を見つけるのは宝物を発見するのと同じ」 2019年、『婦人公論』の表紙に登場した芦田愛菜さん(6月25日号/篠山紀信撮影)。14歳だった芦田さんはインタビューで、3歳から始めた俳優の仕事について、次のように語っています。 「小さい頃から演じることが好きだったので、楽しみながら続けてきました。本を読むことも大好きで、自分が今いる世界とは違う世界を体験できるのが魅力だと感じます。最近、演じることも読書と同様に、自分とは違う人になりきって、その人の人生を生きることができるから好きなのかな、と思うようになりました。」(『婦人公論』2019年6月25日号) その直後の2019年7月には初の著書『まなの本棚』(小学館)を上梓。年間100冊を超える読書量から、約100冊のお気に入りの本を紹介しています。 また、高校1年生になる直前の『婦人公論』2020年4月14日号では、小説家の重松清さん、文芸評論家の伊藤氏貴さんと読書の魅力を語り合う座談会に登場。その中で芦田さんは「私にとって本を読むのは、お風呂に入るのや歯を磨くのと同じ、生活の一部」と明かし、本との出会いについて次のように語りました。 「本を見つけるのは宝物を発見するのと同じです。小さい頃から本屋さんに行くと、「何冊買っていい?」と親に聞いて「これも」「あ、これも」と目移りしながら、読みたい本を選んでいました。ハードカバーの本を初めて開いたときのパキパキッという音や、紙の匂いも好きで。「ああ、ここまで読み進んでいる」という実感が、めくっていくページの厚みでわかるのも楽しいです」(『婦人公論』2020年4月14日号) 「ジャケ買いはけっこうします。「こんな話なのかな」と、見た目から想像するのも好きです。本のカバーも帯も全部とっておきますよ。処分すると、本の命を削いでしまう気がして。」(『婦人公論』2020年4月14日号) 読書が好きという思いが一貫して、いまの芦田さんを作っていることがうかがえます。