漬物製造きょうから許可制に 廃業選ぶ農家も 作り手減少に拍車
改正食品衛生法で漬物製造の衛生基準が厳格化され、1日から許可制に完全移行する。許可に必要な施設整備ができず、廃業を決める農家が相次ぐ。日本の伝統食である漬物の作り手減少に拍車がかかっている。 【写真で見る】大阪の直売所でも張り紙が 同法は2021年6月に施行された。食中毒防止へ、漬物製造業には保健所からの営業許可を求める。経過措置で24年5月末までは許可なしでも製造・販売できたが、6月からはできなくなる。許可を得るには、加工場と生活場所を区分し、汚染を防ぐ水回り設備などを備えた施設が必要。自宅などで漬物を作る農家が、高齢化もあって許可取得を断念する動きがある。 特産「いぶりがっこ」などがある秋田県によると、21年時点で県内直売所で漬物を売る人は少なくとも636人いた。だが、今年2月時点で農業者の漬物製造の許可施設は179件。県は補助事業で施設整備を支援したが、廃業が少なくない。 千葉県南房総市の道の駅三芳村鄙(ひな)の里の直売所「土のめぐみ館」は5月30日、31日で漬物販売を終える農家がいることをX(旧ツイッター)に投稿。丸一日で1・1万件リポストされた。伊勢田誠店長によると、漬物出荷者は22人・団体だったが、6月からは5人・団体になる。 厚生労働省によると漬物製造業で許可を得た施設は、直近調査の23年3月末時点で5435件。法改正前の事業者数は正確な数を把握していないという。
日本農業新聞