ゴーン容疑者逮捕 郷原弁護士が会見(全文1)有価証券報告書への不記載は犯罪か
郷原信郎弁護士は26日午後、東京都千代田区の外国特派員協会で記者会見を行い、日産自動車のカルロス・ゴーン前会長らが金融商品取引法違反の疑いで逮捕された問題について、「逮捕の正当性に重大な疑問がある」と疑義を唱えた。 【動画】郷原信郎弁護士が「検察の力」をテーマに記者会見(2018年11月26日) ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードはYouTubeのTHE PAGEチャンネル上の「郷原信郎弁護士が「検察の力」をテーマに記者会見(2018年11月26日)」に対応しております。 ◇ ◇
日本版司法取引の特徴について
郷原:ご紹介いただきました郷原です。よろしくお願いいたします。最初にちょっと配布しています資料についてご説明したいと思います。PowerPointの資料、この投影されているものも日本語の資料ですが、このうち最初に日本版司法取引についての話をしたいと思います。その部分は英訳を用意しています。それから私が書いたブログを配布しています。まず、11月21日付けのブログ。これがかなり反響があって今日お招きいただいたきっかけになったブログだと思います。これについては英訳版を付けております。それと、きのう出したブログ。これが前のブログ以上に非常に大きな反響を呼んでおりますが、まだこれは英訳できておりませんので日本語版の配布だけです。 それではまず、日本版司法取引の特徴についてお話をしたいと思います。この表は日本の司法取引とアメリカ、ドイツの制度を比較したものです。日本の司法取引の最大の特徴はアメリカのような自己負罪型が制度として導入されなかった。自己負罪型が含まれていないということです。日本の司法取引は、他人の犯罪事実についての供述をすることで自らの処罰を軽減してもらう制度だけです。そのような他人負罪型だけの司法取引であることは、この司法取引の運用にも非常に大きな影響を及ぼす可能性があります。 なぜ、アメリカのような自己負罪型の司法取引が導入されなかったのかという点なんですが、まず1つは日本にはアメリカのような有罪答弁の場合のアレインメントという制度がありません。特に日本では検察官と被告人、弁護人との間だけで刑を、有罪を確定させる権限は検察官には与えられていません。もう1つは、これがある意味ではさらに重要な理由なんですが、日本の司法制度の下では罪を犯した者がその事実を認めるのは当然だと考えられています。自白したからといって、特別な恩典が与えられる理由がない。ところが他人の犯罪であれば、もともと供述する義務がないので、それをあえて行って、捜査に協力した場合は恩典を与えることも正当化できるという理由です。 ということで、日本の司法取引の場合は自分自身の犯罪を認めるだけじゃなくて、他人の犯罪についての捜査協力をすることが司法取引の条件となるわけですが、そのために第三者を犯罪に巻き込む恐れがあるということで、その危険性の問題は立法の過程でもいろいろ議論をされました。この点については、この英訳版の資料にも書いていますので、こちらのほうをご参照ください。