延長12回5時間の激闘で敗れたロッテ井口新監督が見せた変革の兆しとは?
井口監督は「球数でね」と、7回6安打完封していた湧井を109球で引っ込めて新勝利の方程式を試した。新外国人のシェッパーズからストッパーの内へとつなぐパターンである。 だが、セットアッパーのシェッパーズがつまずいた。1m93の長身を生かすボールには角度があり、打ちにくさはあるが、制球力に難があり、フォームが大きいので、走者が出るとクイックができず球威も落ち、逆転を許す。内も11回に出てきたが、まだ調整不足に見えた。 そして4番不在の問題だ。4番に予定をしていた角中勝也が「第12胸椎圧迫骨折」と診断され、全治約5週間の見込みと発表された。少なくとも交流戦までは戦力として計算が立たないだろう。代わって4番指名した井上晴哉は、1回一死二、三塁で外野フライも打てず、5回二死三塁のチャンスにも投ゴロに倒れた。 機動力をアップしたのはいいが、打線のアクセントとして不可欠の一発を打てる打者が一人もいない。オープン戦のチーム本塁打数「3」は、もちろん12球団で最下位。本来ならば新外国人が、そこにはまらなければならないのだろうが、2013年にメジャーで21本塁打を放っているドミンゲスは、まだ日本野球への対応不足との理由で開幕1軍メンバーから漏れた。 チームは変わろうとしている。しかし、勝利方程式と4番というチームの軸が不確定では、長いペナントレースを戦うと、必ず数字に、はねかえってくる。 「明日、しっかりと戦っていく」 井口監督は、そう前を向いた。だが、フロントのバックアップがなければ、せっかくの変化の兆しが改革、革命にまで進むのに予想以上の時間がかかるのかもしれないとも感じた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)