中上貴晶 vs 同世代ライバルたち! 実はMoto2・125cc時代から続いていたMotoGPへの出世争い
ザルコとは125cc・Moto2時代から速さを競う
LCRホンダの同僚として競い合うザルコとも、クラスを変えつつ数年にまたがって相まみえている。
125cc以来となるMoto2新人同士での2012年の争いは、ザルコ最高4位に対し、最高5位。シングルフィニッシュ数、完走数でも上回ったザルコがランキング10位でルーキー・オブ・ザ・イヤー。中上は新人2番目の15位で終えた。翌2013年はポディウム5回の中上が総合8位、ザルコ9位と逆転。その後は2015~2016年と連覇したザルコの後塵を拝すことが増えるが、現在の戦いぶりを見ても本来同等のスピードを備えていることは間違いないだろう。
2018年、同時にMotoGPへ昇格したモルビデリ
2013年にワイルドカードでMoto2にデビューしたフランコ・モルビデリ(1994年12月4日生まれ)は、中上と同じ2018年にMotoGP昇格を果たしている。 モルビデリがフル参戦を開始した2014年、中上はイタルトランス・レーシングから岡田忠之が監督を務めるイデミツ・ホンダ・チーム・アジアに移籍。発足2年目のチームが新たに採用したカレックス製フレームのセッティングを煮詰められなかったこともあり、ランキング22位と大不振。一方、モルビデリは最高5位と初年度からまずまずの成績を残すが、続く2015年は怪我もあって総合10位。復調した中上が8位と盛り返した。
共にMoto2最終年となった2017年はモルビデリにタイトルをさらわれたが、中上も優勝1回を含む4度の表彰台と、トップレベルの速さを示した。
Moto2後半、徐々に増えてきた年下のライダー
マーベリック・ビニャーレス(1995年1月12日生まれ)も2014年のみMoto2で戦っている。前年にMoto3王座を戴冠したビニャーレスは、勢いそのまま4勝を挙げ、1年でMoto2を卒業。 2015年からの2年間はアレックス・リンス(1995年12月8日生まれ)とも争った。参戦5戦目でポールポジションを獲得したリンスは初年度から2勝を挙げてランキング2位。2016年も2勝を含む7回のポディウムで総合3位。中上より1年早い2017年にチーム・スズキ・エクスターから最高峰クラスに昇格した。なお2021年にコンビを組んだアレックス・マルケス(1996年4月23日生まれ)もリンスと同じ年にMoto2へ上がってきている。 2016年は前年Moto3ランク2位のミゲル・オリベイラ(1995年1月4日生まれ)、現在レプソル・ホンダ所属のルカ・マリーニ(1997年8月10日生まれ)、2017年は後にMotoGPチャンピオンとなるファビオ・クアルタラロ(1999年4月20日生まれ)に加え、2022~2023年のMotoGP王者、フランチェスコ・バニャイア(1997年1月14日生まれ)、Moto3タイトルを引っ提げたブラッド・ビンダー(1995年8月11日生まれ)らがMoto2にデビューし、覇を競った。
Moto2後半は年下が増えてきたように、32歳の中上がMotoGPの一線から退くのは自然な流れ、世代交代が進みつつあることの証左なのかもしれない。しかし、下位カテゴリーから続く250戦以上に及ぶ軌跡は、後に続く日本人ライダーの道標となることだろう。
井出ナオト(編集PBKK)