「子供の話を聞かずに発達障害と診断を出してしまう」...一部の医療機関で横行している「ヤバすぎる診断体制」と「避ける唯一の方法」
発達障害はその子の特性
こうした事態を避けるためにも、万が一、学校などで「発達障害の可能性がある」と言われたときに、どう対処すればいいのだろうか。 まず大切なのは慌てないことだ。学校で問題が起きたのだとすれば、実際に何が起きていたのかを子供と教師からしっかりと聞く。それでも、どうしても病院に行かなければならない場合は、専門医など、信頼のおける医者を選ぶ。ポイントは複数の専門家に子供を診てもらうことだ。前出の岩波氏はこう解説する。 「児童精神科がある医療機関であれば、発達障害に対応しています。たとえば東京都内だと都立小児総合医療センターが代表例でしょう。単に相談するだけであれば、都道府県にある発達障害者支援センターでも専門家のアドバイスをもらえます」 また、たとえ発達障害と診断されても、悲観しすぎてはいけない。前出の原田氏は「発達障害は病気ではなく特性です」と言う。 「発達障害は、足が速いというのと一緒で、環境が整えばよい方向にも働きます。個々人に違いがあるだけで、優劣があるわけではない。発達障害の専門家は、診断だけでなく、その子がやりたい方向、生きたい方向に向かってサポートもしてくれます。プロの支援があれば、うまく特性を発揮しながら社会の中でも活躍していけるはずです」 トラブルになったからといって、すぐに障害があると疑うのは子供の個性を否定することに繋がりかねない。安易なチェックリストで子供の人生が変わってしまうことのないよう、親も知識を得ることが肝要だ。 「週刊現代」2024年9月28日号より
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