食べ方からアレンジまで千差万別!日本人のソウルフード「卵かけご飯」の世界
仕事に追われる毎日。時間のない毎朝の食事に、手早く食べられる『卵かけご飯』、通称『TKG』が再注目され、広がりをみせている。 ■【画像】16種類もある「TKG」スタイル一覧表■ 「卵は、ビタミンCと食物繊維以外の栄養が全部入っています。手軽にバランス食をとれるという、栄養面では満点の食事なんです。コリンという脳に働きかける栄養成分が含まれていて、朝から頭がスッキリする効果もあるので、忙しい現代人にもぴったりですね」 こう語るのは、卵かけご飯を世界に普及する『日本たまごかけごはん研究所』の代表理事、上野貴史氏だ。上野氏はさらに、卵かけご飯の人気をこう語る。 「当研究所が年に1回主催している卵フェスというイベントがあるのですが、2か月前にはチケットが売り切れ、今年の総来場者数は約1万5千人にもなりました」(前同=以下、上野氏) 今再び盛り上がりを見せる卵かけご飯だが、その現代人を惹き付ける魅力はどんなところにあるのだろうか。 「たまごとご飯と醤油だけでできるお手軽さが一番の魅力ですが、料理として完成されているんですね。食材やアレンジ、作り方の順番を変えるだけで、レパートリーは無限大の可能性を秘めています。“卵かけごはんは宇宙”なんです!」 研究所のホームページを見ると、作り方にも様々なバリエーションが。レシピには英語の歌詞のような名前が付けられ、作り方にもこだわりが感じられる。 そんな上野氏が薦める「究極にうまい」卵かけごはんの作り方がこちら。 「やや硬めに炊いたご飯に“先に醤油をかける”と、ご飯の熱で醤油の香りが立ち、より香りを楽しめます。その後は溶いた卵を加えて素早く混ぜ合わせる。すると、醤油の塩味やコク、お米の旨味が、口の中で味のグラデーションを起こして絶品です。この食べ方は、醤油ご飯の夜空に、溶き卵の朝日が広がるので、当研究所では、『サンライズ』と呼んでいます」
■プロが薦めるアレンジ食材は?
食材選びも、人それぞれ好みが出るが、おススメがあるという。 「もちろん、自分の好みに合わせることが美味しい卵かけご飯の前提ですが、ごはんは粒しっかりめで粘り少なめ、味濃いめがおススメ。お寿司のシャリに選ばれているようなつや姫やササニシキ系がおススメです。醤油は薄口醤油がいいですね。すこし甘さがあると、卵とお米をつないでくれます。 卵は雑味の少ない植物性の餌で飼育した、一個40円くらいのヨード卵などの卵が、基準になりますね」 シンプルな卵かけご飯だけに調味料を少し加えるだけで、その魅力も様変わりする。 「ワサビや黒胡椒を足すのがおススメです。ワサビは爽快なキレがあるので、卵かけご飯を食べているときの口の中のまったり感を切ってくれます。黒胡椒は、卵の味の輪郭を際立たせるキレが出ますよ」 さらに上野氏は、食材をちょい足しする絶品レシピも教えてくれた。 「いくらを足すと、卵かけごはんと掛け算が起こります。どっちのいいところも高めあっていますね。そこにワサビとのりをまくのがおススメです。あと、複数の食材になりますが、しらすと梅干と万能ねぎを乗せた卵かけご飯、これはまさに究極ですね。これ食べておいしくないという人はいないだろうという組み合わせです」 卵かけご飯の世界が、これほどまでに奥深いとは――。今後の展望を上野氏に聞くと、さらに驚きの言葉が。それが『フレーバー卵』だという。 「卵は、表面に1万7千個ほどの穴が開いていて、そこから匂いがつけられるんです。例えば、コーヒー豆と一緒に密閉するとコーヒーの風味が付きます。ゆずやレモン風味の卵は、これから世の中に流通するはず。今後は、自分でアレンジするマイフレーバー卵、なんてものが流行るかもしれませんね」 皆様もオリジナルの作り方を研究してみては?
ピンズバNEWS編集部