スイーツ好評、今や「食べ歩きの街」 善光寺参道に大量のごみ問題 マナーの悪さ戸惑う声も
変わる善光寺かいわい
仁王門をくぐると、クリームの甘い香りが鼻に抜ける。定番のおやきやみそソフトのほか、栗をふんだんに使ったパフェ、最中ジェラート、子どもに人気のキャラクターをかたどったカステラなどテイクアウトのスイーツがひしめき合い、目移りするほどだ。 【写真】GW初日、国内外からの参拝客でにぎわう善光寺仲見世通り
大型連休前の長野市の善光寺仲見世通り。大勢の客が「おいしそう」「どれにする」とにぎやかに歩き、店頭のベンチに座って味覚を楽しんでいた。名古屋市の会社員小木曽葉月さん(33)は「何を食べるかすごく迷った」とおやきを手に笑顔。シンガポールから訪れた男性(53)は「いろいろな食べ物があって良いね」とうれしげに話した。
善光寺門前で今、注目されているのが「食べ歩き」だ。SNS(交流サイト)で写真映えするカラフルなスイーツが紹介され、表参道の店を中心に食べ物がお得に買える「善光寺表参道食べ歩きチケット」(実行委主催)が販売されている。
「空港から遠いので、大荷物の外国人はかさばる土産を買わない」と指摘するのは、仲見世通りで土産物店を営む女性。酒やそばなどの物販の動きは鈍く、テイクアウトできるスイーツなどを店頭で売る店が急増した、と明かす。
それに伴い、地元で問題になっているのが大量に出るごみだ。女性の店のごみ箱にはクリームがついた他店のプラスチックカップなどが捨てられ「洗って分別するだけで毎日大変」。処分代の負担も小さくない。ただ、複数の店に聞くと、無断で他店のごみ箱に捨てるなど「マナーは日本人客の方が悪い」という。
同市元善町の町誌編集委員会が1980年にまとめた「善光寺門前町百年の歩み」によると、日用品を売るなど商業の中心だった仲見世通りは戦後、善光寺の参拝者向けに仏具や土産物を売る店が中心になった。仲見世の商店でつくる「元善町商盛会」によると、テイクアウトできる飲食店は2015年の善光寺御開帳の頃から徐々に増え始め、現在、通りの約60店のうち約20店に上っている。