【高齢者の「病院との付き合い方」】複数の専門クリニック受診を「総合病院に一本化」するメリット 移動や予約の手間が軽減、検査や投薬の重複防止も
歳を重ねて健康への不安が増したら、「病院との付き合い方」について再考が必要だ。症状ごとに内科や泌尿器科、整形外科、眼科など複数の専門クリニックを受診するケースは多い。
しかし、症状によって医療機関を使い分けることで、「複数の生活習慣病を合併している高齢者の場合、治療方針のずれや薬剤の相互作用で副作用リスクにつながるケースもある」と医療経済ジャーナリストの室井一辰氏は指摘する。その場合に検討したいのが、受診する医療機関の総合病院への一本化だ。 200床以上ある総合病院では、紹介状がなければ初診料や再診料で3300円から7700円の“特別料金”(選定療養費)の自己負担が必要だが、それでも総合病院に一本化するメリットが勝る場合があるという。 「基本的に日本の医療制度は全国どこでも標準治療で、世界的にも質の高い医療が受けられます。特に総合病院では患者の診療情報が一元管理されており、カルテやレントゲン検査の結果について診療科間での共有も比較的スムーズにしやすい。クリニックでは対応できない高度な治療や検査が必要になった場合も、最新の医療設備が整う総合病院なら対応できる場合があります」(室井氏) 複数の疾患を抱えた患者の複雑な問題に対して横断的にアプローチできるので、各専門医が連携して治療計画を立てることができ、検査や投薬の重複を防ぎやすくなるメリットもある。 「特に専門的な治療が必要になった患者さんは、1か所ですべての診療を受けられる利便性は高い。移動の手間や予約の煩雑さも軽減されるため、特に高齢者や移動が困難な方は助かります」(同前) 通いやすい総合病院を探しておくことも健康長寿には欠かせない。 ※週刊ポスト2025年1月3・10日号