年明けと同時に越前打刃物、初打ち開始…刃物業の発展と1年の無事祈る 福井県越前市のタケフナイフビレッジ
福井県越前市の伝統工芸、越前打刃物の初打ちが1月1日午前0時から、同市余川町のタケフナイフビレッジで行われた。烏帽子(えぼし)に白装束の職人3人が昔ながらの鍛錬技法で剣なたを鍛え上げ、刃物業の発展と1年の無事を祈った。 タケフナイフビレッジ協同組合設立当初からの恒例行事。伝統的な「古式鍛錬」を再現し、鉄を熱する親方を伝統工芸士の山本直さん(45)、鉄を打つ子方を中里隆寛さん(31)と向井大貴さん(23)が務めた。 大勢のカメラマンや見物客によるカウントダウンが行われ、1日午前0時を迎えると職人が初打ちを開始。2人の子方が親方の指示に従い交互に鉄を打つと、真っ赤に熱された鉄から火花が飛び散った。終盤に掛けて雨が強まったが、かがり火に照らされる中、1時間「カン、カン」という槌音(つちおと)が夜空に響いた。完成した剣なたは神棚に奉納された。 山本さんは「越前打刃物は海外にも認識されてきている。それを励みにしてけがなく、いい刃物を作っていきたい」と話していた。
福井新聞社