東証1部「バブル超え」 相場の上昇基調は続くのか
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運用改革により、130兆円もの資産運用のうち日本国債などの国内債で運用するとしていたものを60%から35%に引き下げる一方で、国内株式を12%から25%に引き上げました。GPIFだけでなく共済年金なども同様の資産構成の見直しを行い、それが日経平均上昇の大きな原動力となっていました。日銀の異次元緩和によるETF(上場投資信託)などへの買いを含めて、GPIFの株買いなどによる相場上昇は「官製相場」と呼ばれました。 ただし、欧米の株価指数が過去最高値を更新しているにも関わらず、日経平均は1989年12月29日についた最高値38957円44銭、引け値での38915円87円銭と比べて半分近くでしかありません。これは1990年以降のバブル崩壊の後遺症が大きかったことが大きな要因となっていました。 官製相場にも限度があり、ここからの株価の上昇は難しいとの見方もあります。米国の中央銀行であるFRBは年内に利上げする可能性があります。その際に米国株式市場とともに日本の株式市場も下落するのではないかとの観測もあります。しかし、米国が利上げできるくらいに世界的な危機は後退したとの見方もできます。2020年の東京オリンピックという大きなイベントも控えています。日本経済に明るい展望が開ければ、さらなる株価の上昇の可能性は十分にあります。バブル期と比べて株価の上昇余地はまだ十分にあるとの見方もできるかもしれません。 そのためには、日本企業の実力を強化しそれにより株価を上昇させて、海外投資家も含めて資金が株式市場に向かい、時価総額を拡大させていけるような環境にすることが重要です。これには企業価値を高めるための企業それぞれの努力も当然必要ですが、成長戦略を含めて政府が経済そのものの構造改革を続けてゆくことが重要となるでしょう。 (久保田博幸/金融アナリスト)