ロレアル24年上半期は売上高7.5%増で増収増益 「潜在顧客は約40億人」とCEO
ダーマトロジカル ビューティ事業本部は、同15.5%増で37億9300万ユーロ(約5992億円)と勢いを維持した。米国の景気減速にも関わらず、市場を大幅に上回る成長を遂げた。「ラ ロッシュ ポゼ(LA ROCHE POSAY)」は全地域で2ケタ成長し、同事業本部の成長率をけん引した。独自成分メラジルを配合したエイジングケア美容液“メラ B3 セラム”を成功要因に挙げる。
「ブランド価値と売り上げのバランスが良い」とCEO
ニコラ・イエロニムス(Nicolas Hieronimus)最高経営責任者(CEO)は関係者に向け、好調な業績を強調し、「ロレアルはブランドの価値と売り上げのバランスがよく取れている」と話す。同社の売上増に貢献した上位3地域は、米国、メキシコに続き、ドイツ、オーストリア、スイスの3カ国からなるDACH地域だった。また、上半期では新興市場における事業規模が中国本土に匹敵したという。新興市場では特にオンラインチャネルが、オフラインの3倍の速さで成長した。
北アジアでは苦戦を強いられている。同地域の売り上げは既存店ベース同1.7%減で、2/3の売り上げを占める中国本土は「年初わずかに回復したものの、第2四半期にはマイナス成長に転じた。また消費者の購買意欲の回復も見られていない」と話す。免税店の多い海南島では売り上げが3割減じ、旅行客は徐々に増えているが為替の影響があった。一方日本では、インバウンドの好影響から10%中盤の成長率となった。今後も中国本土は若干のマイナス成長となるが、トラベルリテールと新興市場が好調となると見る。
「潜在顧客は約40億人」 新興市場に目を向ける
同社は新客の獲得にも専念する。潜在的な消費者を世界人口の半分にあたる約40億人と見積もり、「そのうち30%にしか接触していない」とイエロニムスCEOは説明する。現在の顧客は先進国では60%近く、新興国では25%程度、北アジアでは15%に満たない。今後10年で20億人の消費者にリーチしたい意向で、その鍵を握るのは新興市場となる。インドでは長年、プロフェッショナル向けとコンシューマー向け商品に特化してきたが、昨年同国で初めてダーマトロジカル ビューティブランドである「セラヴィ(CERAVE)」を発売した。中国でも「イソップ」や「プラダ ビューティ」の導入、地方都市への出店により市場シェアを拡大している。消費者の購買力と洗練度が高まる中欧、東欧にも目を向け、市場シェアがフランスの約半分であるポーランドでは、4~5年で事業を倍増させる狙いだ。「我が社は、ビューティ業界における世界1位の企業だ。業界規模の拡大をけん引する」と語った。