「紫の上」はまひろ?『源氏物語』の思わぬ裏話…中宮・彰子がダメ出しした理由も推測【光る君へ】
平安時代の長編小説『源氏物語』の作者・紫式部(ドラマでの名前はまひろ)の人生を、吉高由里子主演で描く大河ドラマ『光る君へ』(NHK)。9月8日放送の第34回「目覚め」では、まひろの書いた『源氏物語』が貴族の間で浸透。これを読んだ道長の娘・彰子のリアクションや、光る君にもっとも愛された「紫の上」の意外な誕生秘話が描かれていった。 【写真】今夜放送『100カメ』で密着されるシーン ■ 天皇に「なぜ書いたのか」と聞かれ…第34回のあらすじ まひろが一条天皇(塩野瑛久)のために書いた物語は、天皇に大いに気に入られたものの、天皇と中宮・彰子(見上愛)との仲は一向に近づく気配がなかった。さらにまひろの房を訪ねてきた彰子には、この物語のおもしろさがわからないと言われ、天皇がどこに惹かれているのかを問われてしまう。しかし天皇の希望で作られたまひろの物語の写本は、たちまち貴族たちの間に広まって評判となった。 まひろの房を訪れた天皇に「なぜこの物語を書いたのか」を問われたまひろは、彰子の父・藤原道長(柄本佑)から、天皇のことをあれこれ聞いて書きはじめたことを打ち明けた。それを聞いた天皇は「そなたの物語は、朕にまっすぐ語りかけてくる」と、この物語に惹かれた理由を語り、続きを知りたがる。そしてまひろは「あの人(道長)と一緒に生きたら、どんな人生だったろう」と想像し、『若紫』の帖を記しはじめた・・・。
中宮・彰子様が「ダメ出し」した理由は?
まひろの書いた『源氏物語(仮←当時はタイトルがないので)』が、貴族たちの間でベストセラーになるところが、女房に扮した声優・西村ちなみ(代表作:おじゃる丸)の朗読まで付けて描かれた34回。最初のファンである帝も、作者直撃取材&ネタバレ催促をするほどにどハマリし、これは順風満帆・・・と思われたけど、思わぬところでダメ出しが入った。いわば直接の上司といえる彰子様だ。しかし彼女が「この物語も、光る君の行動も全然理解できない」というのは、読解力が低いのではなく、彼女がまだ精神的には子どもというのが大きいだろう。 雅な雰囲気と、光る君の美貌と才知でつい目をくらまされてしまうけど、『源氏物語』の・・・特に冒頭は「雨夜の品定め」で世の中にいろんな女性がいることを知った光る君が、気になった女性と手当たり次第関係していく姿がひたすら描かれる。 しかも葵の上という嫡妻がいるにも関わらず、だ。ただこれは、当時の恋愛事情を飲み込んでいる大人であれば、多かれ少なかれ共感したり、あるいは経験していること。だからこそまひろが「どなたのお顔を思い浮かべられても、それはお読みになる方次第」と言い切るのだ。 しかし箱入り娘のまま13歳で入内し、家族以外の男性を知らないも同然の彰子から見たら、光る君の行動原理がまったく理解不能というのは察しが付く。特に今回貴族たちが読んでいた『空蝉』の帖は、光る君が人妻に執拗に迫ったうえに、彼女が寝所から消えてしまったら、その場にいた適当な女性と・・・という、現代人の観点では「なんでやねん!」ともれなくツッコミが入ると思われるほど、光る君のおイタが過ぎる話なのだから。